◆東京六大学野球秋季リーグ戦最終週第2日▽早大9―6慶大(6日・神宮)
全日程が終了し、巨人ドラフト2位の慶大・萩尾匡也中堅手(4年)は、打率4割、打点17、本塁打4で3冠王に輝いた。戦後のリーグ戦で16人目の快挙を達成したスラッガーは、大きな自信を胸にプロの世界へ飛び込んでいく。早慶戦は早大が連勝。明大、早大、慶大が勝ち点4で並び、勝率の差で明大が春に続き通算42度目の優勝を遂げた。
萩尾は最後まで声を出し続けた。ベンチで敗戦を見届けると、涙が止まらなかった。優勝こそ逃したが「勝ち切りたいという思いでプレーしていた。最後の一球まで諦めないという気持ちは貫き通した」と前を向いた。
今カード無安打で迎えた6―8の8回2死一塁で右前安打を放った。得点にはつながらなかったが、最終打席で執念を見せた。3打数1安打2四死球とチームをけん引した。春は2冠に終わり「3冠を取れれば優勝できる」と臨んだ秋。頂点には届かなかったが、3冠王に輝いた。
この日、1996年春に慶大で3冠を獲得したスポーツ報知評論家の高橋由伸氏が現地で観戦。大先輩の前でのタイトル獲得に「(高橋氏のように)取ったから(プロで)活躍できるわけではないと思うけど、成長を感じられたシーズンでした」と実感を込めた。
天国の愛犬が背中を押してくれた。反撃のソロ弾を放った今春の明大3回戦では、試合後に物心付いた時から共に過ごしたミニチュアダックスの愛犬・ハナちゃんが亡くなっていたことを知った。「後押しをしてくれてありがとう」と相棒へホームランボールを託し、「秋も見守ってほしい」と伝えていた。
慶大で過ごした4年間を「勝ったシーズンが一番よかった。負けたらこれだけ悔しいというのを何度も感じる4年間でした」と振り返った。最後の最後でも味わった悔しさを胸に、戦後史上16人目の3冠王として、プロの世界へ歩みを進める。(内藤 菜月)
◆萩尾 匡也(はぎお・まさや)2000年12月28日、熊本県大津町生まれ。21歳。室小4年時に室クラブ(軟式)で投手兼捕手として野球を始め、大津北中時代は北熊本ボーイズに所属し投手兼外野手。文徳では1年春からベンチ入りし、外野手に専念。慶大進学後は2年春にリーグ戦に初出場し、初打席本塁打。3年時からレギュラーに定着。4年秋は打率4割、17打点、4本塁打で戦後16人目の3冠王獲得。今秋ドラフトで巨人から2位指名を受けた。180センチ、84キロ。右投右打。