◆プロボクシング ▽WBC、WBA世界ライトフライ級(48・9キロ以下)王座統一戦12回戦 〇寺地拳四朗―京口紘人●(11月1日、さいたまスーパーアリーナ)
WBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗(BMB)が、WBA同級スーパー王者・京口紘人(ワタナベ)に7回TKO勝ち。WBC王座初防衛とともにWBA新王者となり、2団体統一を果たした。元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏がこの熱戦を解説した。
日本人同士の王座統一戦にふさわしい、心をつかまれる戦いだった。ただ正直、ここまで一方的な展開になるとは思っていなかった。それだけ寺地の強さが際だった試合となった。
立ち上がりから左ジャブや出入りをはじめ、全体的なスピードが違った。序盤はジャブの突き合いではあったが、寺地は初回から右につなげていた。その中でもパンチを出した後に、バックステップでしっかり下がっていた。出入りが常にできていたので、京口が打ち返そうとしても、既に射程圏にいない状況だった。
その展開の中で、徐々に寺地の速い右のパンチがヒット。最高のタイミングで右が入った5回の先制ダウン、7回のフィニッシュにつながっていった。寺地のジャブは、対戦した選手が言っていたとおり、タイミングがいいし、硬さもあった。右のキレもあり、先に先に攻めていた。
一方の京口も、ダウン後の反撃は素晴らしかった。王者の意地を見せてくれた。「この後の展開はどうなるんだろう」と思うほどの盛り返しを見せてくれた。彼でなければ、ここまでの熱い試合にはならなかっただろう。ダメージもあるだろうから、今はしっかり休んでもらって、この負けを糧に成長してもらうことを願っている。
寺地には、同じ興行のセミファイナルで2度目の防衛に成功したWBO王者ゴンサレスとの統一戦をぜひとも期待したい。
ゴンサレスに敗れた帝拳ジムの後輩・岩田は、相手のボクシングの幅の広さに対応しきれなかった。中盤にいいペースになりかけたが、そこからゴンサレスが前に出たり、足を使って左右に動き回るなど幅広い攻めをしてきた。時に同じラウンド内で使い分けることさえあった。岩田は想定はしていたと思うが、試合の流れをつかむうまさ、距離感やパンチのタイミングなど、王者が上だったということ。結果は残念だが、まだこれから。この経験は絶対に生きると思うし、生かさないといけない。(元WBC世界バンタム級王者)