「silent」脚本家・生方美久さん、29歳連ドラデビュー作が大反響…「心情優先」にこだわり

真剣な表情で仕事に臨む生方美久さん’(左)、村瀬健プロデューサー(右)(C)フジテレビ
真剣な表情で仕事に臨む生方美久さん’(左)、村瀬健プロデューサー(右)(C)フジテレビ

 女優の川口春奈(27)が主演を務めるフジテレビ系「silent」(木曜・後10時)が、見逃し配信の再生回数で歴代最高を記録するなど、大きな話題となっている。医療や警察ドラマが大手を振る昨今、ストレートなラブストーリーがヒットするのはまれだ。脚本を務める生方美久さん(29)は、実は本作が連続ドラマデビュー。いきなりヒット作を生み出した新人脚本家に、今の思いや作品に対するこだわりを聞いた。

 連ドラデビュー作の大反響に、生方さんは「うれしく思っています。今後もよろしくお願いします」と初々しくあいさつした。

 「silent」は、主人公の青羽紬(川口)が本気で好きだった高校時代の恋人・佐倉想(目黒蓮)と別れ、8年の時を経て再会し、待ち受ける現実と向き合っていくピュアなラブストーリー。登場人物が発する言葉が、「心に刺さる」「毎話泣ける」と視聴者の感情を揺さぶっている。

 「セリフは、会話させた時になんて言うか、というのを考える。最初にキャラクター設定して、その子がしゃべるなら、こう言うだろうとか。普通に話していても、逆説になっていたり、『でも』『う~ん』とか言うじゃないですか。その方が自然かなって」

 ストーリーの大筋は、プロデューサーの村瀬健氏と話し合いながら、自身で登場人物と物語の詳細を詰めてきた。「刺さる」セリフの根っこには、“人間らしく”細やかに設定されたキャラクター像がある。

 「メインキャラはプロフィールをA4ペラ1、2枚くらいにまとめている。過去にこんなことがあったとか、人生の分岐になった出来事をつらつら書いている感じです」

 ペラ1、2枚だが、村瀬氏は「僕や監督の頭に浮かぶ人物像になっていて、それを生方さんが脚本にした時にしゃべっているイメージ」と評す。制作現場も、できるだけ生方さんの書いたものを取り入れているという。それ故に、他のドラマと一線を画す仕上がりになっているのだろう。

 ただ連ドラデビュー作とあって、まだ不慣れなこともあり、周囲からの助言は「いっぱいされてます」とはにかんだ。今回は、川口や目黒を想像しながら、いわゆる“当て書”で脚本を執筆した。

「お芝居に関してはドラマとか映画が好きで(2人を)よく見ていたが、演技をしているところより、インタビュー映像を検索して、しゃべり方とか声のトーンとか、そういうところは反映させたいなという気がしました。川口さんと目黒さんは、私が思っていたイメージというよりは、世間一般のイメージに当てはまるようなものにしようというのはありました」

 そうした中で、出来上がった映像を見て、自身の脚本との間で避けがたい“乖離”については、どう感じているのだろうか?

 「監督やキャストの皆さんがとても理解して、演じて下さっている。自分の書いた時に頭にあるものと『違うな』って思う絵の撮り方やお芝居はあるのですが、それが『違う』という感じではなくて、作品全体として、その1話として見た時に、むしろ正しくしてもらっている印象。『違うな』という不満という意味での違和感を感じたことはない」

真剣な表情で仕事に臨む生方美久さん’(奥)、村瀬健プロデューサー(手前)(C)フジテレビ
真剣な表情で仕事に臨む生方美久さん’(奥)、村瀬健プロデューサー(手前)(C)フジテレビ

 恋の行方が気になるファンの間ではネット上で、考察合戦も繰り広げられるようになった。ラブストーリーでは極めて珍しい現象に、生方さんも驚きを隠せない。

 「そんなに私自身は伏線とか思っていなくて、単純に何が変わって、変わってないかを描く要素の一つとしてセリフになっているだけ。私が一番、考察されているのにびっくりしている」

 物語である以上、大きな流れは一定の段階で決まったが、場面毎の「感情」を大切に書いている。

 「ラストはこうなるというはその時々考えるけど、(細部は)結構変わっていくことがある。どこに向かわせるかということより、基本的にはその時々の心情を優先させている」

 初回の見逃し配信の再生回数は531万回を記録し、TVerでは民放歴代最高記録を塗り替える443万回という新記録を達成。物語は中盤だが、第4話では2人の関係に急展開を告げる場面があり、視聴者を驚かせた。

 「心情を優先させる」ー。その姿勢がファンの共感を呼び、涙を誘うセリフに通じているのだろう。生方さんは、紬と想にどんな未来を用意するのか。「令和のラブストーリー」から目が離せない。(江畑 康二郎)

 ◆生方美久(うぶかた・みく) 1993年5月10日。群馬県出身。29歳。群馬大医学部保健学科卒業後、看護師に。独学で脚本を勉強し、「踊り場にて」で第33回「フジテレビヤングシナリオ大賞」受賞。

真剣な表情で仕事に臨む生方美久さん’(左)、村瀬健プロデューサー(右)(C)フジテレビ
真剣な表情で仕事に臨む生方美久さん’(奥)、村瀬健プロデューサー(手前)(C)フジテレビ
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