【番記者の視点】鹿島が洗練された8試合ぶり勝利 岩政大樹監督が伝えた「手順」

スポーツ報知
 

◆明治安田生命J1リーグ▽第33節 鹿島 1-0 清水(29日・IAIスタジアム日本平)

 目標を持って戦っていたのは、J1残留がかかる清水ではなく、すでに優勝も降格もない、アウェーの鹿島だった。DFラインを中心とした声。リーグ中断期間で復習したという守備の優先順を表現しようとする姿勢。ゴール前での執着もより感じた。互いの時間帯があった中で、MF三竿健斗が出した右足に、相手のクリアボールが当たってゴールに吸い込まれる決勝点で鹿島が8試合ぶりの勝利を手にした。

 岩政大樹監督は試合後、「ようやく勝つことができた。自分たちがやろうとしていることが出せるようになってきた。選手たちにとって、非常に大きな試合だったと思う」とねぎらった。勝てなかったことを「僕はそこまで意識してなかった」と話したが、会見場で見せた晴れやかな表情とテンポに乗った口調から、誰よりも勝利を待っていたことが伝わってきた。

 勝ちたい気持ちをいかにしてプレーに落とし込むか。この3週間の中断期間で、この点を整理したように感じる。勝ちたい気持ちは球際や走力、汗に表れやすく、そうした指示を最優先に出す監督も多い。鹿島も伝統的に大事にしてきた部分だ。だが、岩政監督は「順番を逆にしよう」と選手に伝えた。「一つひとつの瞬間でやらなければいけないこと、意識しなければいけないことがある。それを1個、1個、積み重ねていけば結果になってくる」。

 守備対応順を復習したことも、その一環ではないか。ボールへの守備を優先することは知っているはずだが、改めてチームですり合わせた。順位的に上も下もなくなった終盤戦。和泉竜司が「勝ち続けられるチームになりたい」と言い、松村優太も「勝ちたい」と意識高く試合に臨んでいた。岩政監督はこの満ち足りた気持ちを、がむしゃらなプレーではなく、丁寧な1プレー1プレーに向くよう仕向けた。

 「スコアというのは最後の結果でしかない。(敗れた)FC東京戦、(天皇杯準決勝のJ2)甲府戦は勝ちたい、勝ちたいという思いから入った。鹿島は勝たないといけない。結果、結果と言われ続けてきた中で、やるべきことが失われていった」と岩政監督。アウェーでの1―0を「その意識がプレーによく出ていた」と総括した。

 サッカーには気持ち、手順、戦術、どれも欠かせない。その中でチーム状況を見極め、どこを強調するかは監督次第。今季無冠が決まった終盤戦でも、「復権」という目標に向かって力強く前進する姿が見られた。(鹿島担当・内田 知宏)

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