◆柔道 講道館杯(29日、千葉ポートアリーナ)
女子63キロ級で東京五輪代表の田代未来(コマツ)が頂点に立った。初戦から5試合を一本勝ち。昨夏の五輪以来の実戦で頂点に立ち「畳に上がって戦っている一瞬一瞬が本当にうれしくて、まだ戦えるんだなって実感した。(柔道を)もうやめなきゃいけないかなと思うことが多かったので、希望が持てる1日になった」と感極まった。
東京五輪は3か月前に左足首を痛めた。本番は2回戦で敗退。24年パリ五輪での雪辱を目指すかどうかは「考えても考えても、答えが出なかった」と振り返る。昨冬に稽古を再開したものの、今年2月には左膝の前十字じん帯を断裂。すぐに手術し、本格的に稽古に取り組めたのは9月だった。度重なる試練に引退の二文字も「チラチラしていた。この試合に出る直前まで考えいた」と明かした。
今大会は「自分の気持ちを確認できる1日」と位置付けて臨んだ。畳に上がると、闘争心が湧き上がるのを感じた。「やっぱり戦っていたら、負けたくないなって気持ちが強かった。まだ柔道をやめないで良かった」と実感を込めた。
現在のこの階級は10月の世界選手権を制した堀川恵(パーク24)がリードする。「戦いきれたのは大きな収穫」とした一方で、「内容を見れば、まだまだ世界で戦えるレベルでもない。そこは帰って反省して練習していきたい」と表情を引き締めた。12月のグランドスラム東京大会の代表権も獲得。2度の五輪に出場した28歳が、再び世界を目指して歩き出した。