州崎パラダイスの跡地で一杯 つまみは鍋焼きうどんと長い歴史

スポーツ報知
そば屋の名店で鍋焼きうどんと瓶ビール(カメラ・今関達巳)

 東京メトロ・東西線の東陽町駅を上がって永代通りを木場方面に歩いてみた。東陽3丁目の交差点を左に曲がると州崎橋がある。1956年に制作された名作「州崎パラダイス赤信号」(川島雄三監督)の舞台になったところだ。

 売春防止法施行直前の東京。故郷を駆け落ちした夫婦(新珠三千代と三橋達也)がたどり着いたのが州崎弁天町というバス停。その先の州崎橋の向こう側は赤線地帯だった。女はかって州崎で娼婦(しょうふ)をしていた過去がある。橋のたもとで葛藤する夫婦。男の「この橋を渡ったら、昔のお前に逆戻りじゃないか」というセリフは時を経ても映画ファンの心に突き刺さってくる。

 男はやがて近くのそば屋で仕込みの仕事を得る。そのそば屋こそ、志のだそばの「花村」である。創業は明治29年(1896年)。州崎橋のたもとで歴史を見守ってきた名店だ。

 歴史の重さを感じながらイン、瓶ビールを注文した。一緒に鍋焼きうどんも頼んだ。名物は志のだそばだが、肌寒い風が体の芯から温めてくれる鍋焼きうどんを求めていた。ジュウジュウと音を立てながら鍋焼きうどんが運ばれてきた。かまぼこと椎茸(しいたけ)をつまみに瓶ビールを飲み干す。寒暖のバランスが最高。麺は私好みの少し細め。最後は半熟たまごを崩しながら、えび天に絡めてフィニッシュした。

 なにかを想像しながら一人で酒を飲むのは楽しい。「花村」から外の景色を眺めながら、これまで何組の男女の愛憎劇を見つめてきたのだろう。歴史の重みが最高の酒のつまみだ。

 ちなみに“打撃の神様”川上哲治がプロデビューしたのが近くにあった州崎球場。海の近くに建設された球場ということでカニが多数出現。満潮時にはグラウンドが海水につかってコールドゲームになったこともあったという。血気盛んなプロ野球選手と州崎パラダイスの関係性についてはノーコメントにさせてもらう。

 ◇しのだそば 信太そば、信田そば、篠田そば、志乃田そば、志のだそばとも書く。甘辛く煮た油揚げと揚げ玉をトッピングしたそばのこと。「花村」ではカツ丼、玉丼、開花丼、カレー丼のセットをリーズナブルな値段で食べることができる。

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