小原ブラスの悲鳴「日本以外の国へ行くことが出来ません」に感じた苦悩…ウクライナ侵攻8か月で漏れた本音

スポーツ報知
ロシア軍のウクライナ侵攻が続く中、一人の在日ロシア人として「日本以外の国へ行くことが出来ません」と告白した小原ブラス

 2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻から8か月。両国による戦闘が泥沼化する中、現在もロシア国籍を持つ人気タレントが本音を漏らした。

 小原ブラス(30)が25日、自身のツイッターを更新。ロシアのウクライナ侵攻が続く中、日本在住のロシア人としての本音を吐露した。

 この日、「今の私の状況。ロシア国籍、日本の永住許可あり。日本のメディアでプーチンを批判しているので、ロシア国内では犯罪者扱い」と明かした小原。「日本から他国へ旅行すると、ロシアのパスポートが失効され強制送還の可能性…。よって日本から出国不可」と続けると、「日本以外の国へ行くことが出来ません。プーチンのクソ野郎」と率直な言葉で記した。

 小原はロシア・ハバロフスク生まれ。ロシア人の両親のもと生まれるが、5歳の時、両親が離婚。母親が日本人と再婚し、兵庫県姫路市に移住。以来、日本で生活し、現在は日本国籍取得に向けて動いている。

 ゲイであることを公言する一方、タレント、アスリートのマネジメント事業を展開する芸能事務所のCEOも務める―。そんな多彩な横顔をもつタレントにインタビューしたのは、7月初旬のことだった。

 取材日には、東京・両国の駅前に転居したばかりだった報知新聞社に電車で来社。猛暑の中の訪問に頭を下げると、「会ってから、もう16回くらい『すみません』って言ってますよ」と言って笑った。

 2019年から出演を続けるTOKYO MX「5時に夢中!」の黒船特派員、フジテレビ系「ポップUP!」の曜日コメンテーターとして注目を集める小原は特にウクライナ侵攻に関しては発生当日からプーチン大統領を正面から批判。大きな話題を呼び、メディア露出も急増した。

 SNS上でもプーチン大統領を「許せない」とバッサリ。最初の質問で「身辺は大丈夫ですか?」と心配した私に「侵攻の当日から先陣切って批判したというのがあったから大丈夫かなっていう不安みたいなものを勝手に自分の中で持っていたけど、何か被害を受けたかっていうと、そういうことはなくて。変な脅迫みたいなメールが来たとかはあったけど、そこまで危険な目には遭っていない」と言い切った小原。

 「ただ、ロシアに行くとかっていうことを考えたら、ちょっと怖いなと。パスポートを失効させようってなったらできちゃうと思うんで。パスポートは失効しても永住許可をいただいて住んでいるから日本にいることはできるけれども、例えば国外に旅行に行ってる間にパスポートを失効された時にどうなるかと言ったら元の国に強制送還されるので。この戦争が落ち着くまでは日本はあまり出ないようにしようと思っています」と、当時から危機感をあらわにしていた。

 「今はウクライナに関しては(コメントを)断っているんです。危ないとかではなくて正解がないことをうだうだ言うてもしようがない。ウクライナで実際、何が起こっているかって自分が見ていないものは分からない」と冷静に話す一方で「(取材を受けて)放送される内容がどうなるかっていうと、『ロシア人がこういう差別を受けている。こういうなロシア人の嘆きの声』みたいな感じで報じられる。そうすると、それを見た人の感想は『ウクライナで本当に大変なことが起きているのに日本に住むロシア人は自分のことを心配しているのかよ』みたいな批判になる」と、こちらの報道姿勢もチクリ。

 「そこが切り取られて報じられて、それこそアクセス数が稼がれる。でも、それによって僕だけではなくて他のロシアの人が迷惑するなと思って。ロシア人の私がプーチンとか批判しときゃ数字が上がるってのは分かりますけど、私が言っているだけで他の人たちは知りませんよっていうところがある」と冷静に話していた小原が、ここに来て、「プーチンのクソ野郎」とまで口にしたのには、はっきりとした理由がある。

 一般市民が命を落とし続けるウクライナの現状への焦りが一番。さらに自身が長年、希望する日本への帰化の問題がある。帰化申請のためには5歳まで過ごしたハバロフスクに赴いての様々な書類の収集が不可欠。国外に出た途端にロシア当局による拘束が予想される現状では、どんなに必要な書類の収集も断念せざるを得ないのが現状なのだ。

 真夏のインタビューの際、小原はこう言って笑った。

 「自分はピロシキ(様々な具材を詰めたロシアの惣菜パン)みたいな存在。ロシア人でもあるけれども、ゲイでもあって、面倒くさい性格で関西人でと、いろんな属性が立体的に組み合わさって、こう一つの分子みたいになっている。中身として何が入っているか分かんないから、食べて、ちゃんと味わって評価してよって」―。

 何ものにもとらわれない多面体の魅力を持つ新時代のタレントが思わず漏らした「日本以外の国へ行くことが出来ません」という一言。悲鳴に近い言葉を目にした時、私は戦争というものが持つ罪深さを、心の底から実感した。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆小原 ブラス(こばら・ぶらす) 1992年4月20日、ロシア・ハバロフスク生まれ。30歳。ロシア人の両親のもと生まれるが、5歳の時、両親が離婚。母親が日本人と再婚し、兵庫県姫路市に移住。18歳の時に始めたニコニコ生放送で人気を呼び、12年、東京に移住。18年から自身のYouTubeチャンネルを開設し動画投稿を開始。フジテレビ系「アウト×デラックス」にアウト軍団としてレギュラー出演。19年4月からTOKYO MX「5時に夢中!」の水曜レギュラーの黒船特派員に。フジテレビ系「ポップUP!」などにコメンテーターとして出演中。コラムニストとしても活動の一方、20年12月には外国人タレントのマネージメントを行う芸能事務所「Almost Japanese」を設立し、代表に就任。身長175センチ。趣味は1人カラオケ、サボテンの飼育。

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