俳優の落合モトキ(32)は芸歴27年、今やドラマや映画、舞台に欠かせない一人。バイプレーヤーとして存在感を放っている。
「20代はうまく芝居して、よく見られるかを考えていたけど、30代になって、どうすれば作品が良くなるかを一番に考えるようになりました。今、芝居が楽しいです。より楽しくなったかな」
5歳の時、フジテレビ系「やっぱりさんま大先生」でデビューした。「毎週末、習いごとのように親に連れて行かれ、(明石家)さんまさんとおしゃべりをする。すごいことですよね」。別スタジオでは「ダウンタウンのごっつええ感じ」の収録もあり、「浜ちゃんだ!松ちゃんだ!って。さんまさんと会っているのに、気持ちはダウンタウンさん(笑い)。ぜいたくな経験でした」と懐かしんだ。
その後は俳優として活動。転機になった作品に、映画「ヒーローショー」(10年)を挙げた。当時20歳、井筒和幸監督(69)から「オマエの芝居はなぞりすぎだ」「新鮮さをもっと出せ」と厳しいゲキが飛んだ。現場で何度もテイクを重ねた。
「右も左も分からず突っ走ってきて出る杭(くい)を打たれたというか。鮮度がなかったんでしょう。毎回同じ。見ていて面白くない芝居になっていたと思う。また今日も怒られるな~、と思いながら行っていました」と回想。「今思うと、いい経験だなって。常に新鮮さを意識して、カメラの前に立てるようになったので。厳しく指導していただき感謝しています」
日本テレビ系「ぴーすおぶけーき」(火曜・深夜1時29分、関東ローカル)に上原先輩役で出演中。下田くん(基俊介)、中村氏(佐々木美玲)との幼なじみ3人によるお悩み解決物語。「リハーサルの時間を組んでくれていたので、そこで3人の空気感が作れたと思う。やっていくうちに打ち解けて、『基くん』『みーぱん』『モトちゃん』と呼ぶ仲になった。セリフを待っちゃう人にならないように、セリフを待つ間に鼻歌を歌ったり、リズム風に言葉を発してみたり、その場の空気感を大切にしました」と話した。
コロナ禍の2020年、柄本時生、岡田将生、賀来賢人と「劇団年一(ねんいち)」を結成し、第1回作品「肌の記録」をYouTubeに限定公開した。次回作への期待も高まるが、「企画はいろいろと出していて、グループラインは動いている。いかんせん4人(のスケジュールを合わせるの)が大変」と苦笑い。3人の存在は刺激的で「バラエティー番組に出ていれば見ちゃうし、映画に出てれば見に行くし、もうファンですね(笑い)。一緒に仕事できるように頑張ろう―という積み重ねの毎日かもしれない」と話した。
「ワンシーンでもいい。その人の一生に残るようなものを届けたい」。作品の大小は関係ない。与えられた役に全身全霊を注ぐ。(加茂 伸太郎)
◆落合 モトキ(おちあい・もとき)1990年7月11日、東京都出身。32歳。2001年「ランニングフリー」で映画初主演。04年WOWOW「4TEEN フォーティーン」主演。映画「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」、ドラマ「僕の大好きな妻!」出演。来年1月から「ぴーすおぶけーき」舞台版(東京・天王洲銀河劇場)が開幕する。夢はBS―TBS「噂の!東京マガジン」のレギュラー。尊敬する俳優は光石研。血液型O。