巨人からドラフト2位指名を受けた慶大・萩尾匡也外野手(21)が23日、同大の野球部グラウンドで水野スカウト部長、脇谷スカウトから指名あいさつを受けた。同郷・熊本の松中信彦(当時ダイエー)、村上宗隆(ヤクルト)が3冠王に輝いており、自身も東京六大学リーグで3冠をキープ中。高校時代対戦経験があり、「負けたくない」と追いかけ続けてきた村上との対戦を思い描き、即戦力として戦う覚悟を示した。
萩尾は目を輝かせながら言葉を紡いだ。「村上さんとプロの世界で対戦することは、本当に大学に来た時から意識していた。プロに入って同じ舞台で戦いたいと思っていたので、すごく楽しみです」。巨人から指名あいさつを受けた萩尾は、同郷・熊本の1学年先輩であるヤクルト・村上との対戦を熱望した。
偉大なライバルへの思いが萩尾の思いをかき立てた。文徳2年時、4番を務めた17年夏の熊本大会準決勝。「3番・捕手」の村上擁する九州学院に8―10で敗れた。「熊本では知らない人はいないような選手。負けたくないっていうのはありました」。追いつきたい、追い越したいという思いでここまで走ってきた。「あれだけホームランを打たれて、ファンの方にも愛されている選手というのは僕が目指したい選手の一人」。日本選手最多の56発をマークした令和のスターは今でも憧れの存在。その村上と同じ舞台にようやく立つことができる。
即戦力として戦う覚悟も見せた。水野スカウト部長からは「即レギュラーを取ってもらいたいくらいの気持ちでいる」と期待の言葉をかけられ、「レギュラーというポジションをチームが求めてるのであれば、そこを目指して全力を尽くしていきたい」と決意を込めた。ドラフト1位の高松商・浅野とは同じ右打ちの外野手。「2人で巨人を強くしたいという気持ちを持ってやっていきたい」と、切磋琢磨(せっさたくま)しながら成長していく覚悟を口にした。
萩尾は秋のリーグ戦で打撃3部門トップを快走中。平成唯一の3冠王・松中(04年ダイエー)、令和初の3冠王・村上(22年ヤクルト)はともに熊本出身で、新たなスター誕生に期待が集まる。「熊本は巨人ファンが多くて、頑張ってくれと声をかけていただいた。一つの原動力というか、期待に応えられるように頑張りたい」。座右の銘は母が熊本の阿蘇神宮で購入し、送ってくれたお札に記された「笑門来福」といい、「野球を楽しむことを大事にしている」と明かした。熊本魂あふれる男が、新たな歴史を刻み、巨人ファンに笑顔の花を咲かせる。(水上 智恵)
◆萩尾 匡也(はぎお・まさや)2000年12月28日、熊本・大津町生まれ。21歳。室小4年時から野球を始め、投手と外野手。大津北中時代は北熊本ボーイズに所属。文徳では甲子園出場なしも、通算46本塁打をマーク。慶大では2年春にリーグ戦初出場で史上26人目の初打席本塁打。3年秋の神宮大会では2本塁打で準Vに貢献。4年春は打率3割3分9厘、5本塁打、17打点でベストナイン。180センチ、85キロ。右投右打。
◆熊本出身の主なスター
▽川上哲治(巨人) 熊本工出身。1938年に巨人入りし、2351安打で首位打者5回、本塁打王2回など。「打撃の神様」と呼ばれた。監督としてもV9を含む計11度の日本一。
▽秋山幸二(西武など) 八代高から80年にドラフト外で西武入団。87年に本塁打王、90年に盗塁王を獲得。「メジャーに一番近い男」と呼ばれた。
▽伊東勤(西武) 熊本工から所沢高を経て、81年ドラフト1位で西武入団。黄金時代の不動の扇の要。
▽松中信彦(ダイエー) 八代第一(現・秀岳館)から新日鉄君津を経て96年ドラフト2位でダイエー(現ソフトバンク)入団。04年に平成唯一、史上7人目となる3冠王。
▽村上宗隆(ヤクルト) 九州学院から17年ドラフト1位で入団。今季は日本選手最多の56本塁打を放つなど、最年少22歳で令和初の3冠王に。