将棋の第35期竜王戦七番勝負第2局2日目が22日、京都・総本山仁和寺で指され、藤井聡太竜王(20)=王位、叡王、王将、棋聖=が後手の挑戦者・広瀬章人八段(35)を105手で破り、シリーズ戦績を1勝1敗のタイにした。
第1局は棋聖戦(VS永瀬卓矢王座)、王位戦(VS豊島将之九段)に続く3連続黒星発進。第2局も1日目は苦しんだ。広瀬が「変わった指し方だが、やってみよう」と選んだ10手目△3三金→腰掛け銀の妙手に揺さぶられ、「序盤から経験のない形で、自信がない展開になってしまった」。考慮時間を削られた。
広瀬より1時間40分も少なく迎えた2日目も、封じ手△4五歩の対応で「苦しくしてしまった」。だが、ここから「番勝負で連敗なし」の真骨頂を発揮。昼食休憩後は「攻め合いの形にでき、チャンスのある展開」にすると一気に突き放した。終わってみれば、持ち時間の残りは1時間6分、広瀬には1時間33分も余らせる完勝劇を演じた。
対局場となった仁和寺での勝利は“1勝以上の重み”がある。同所は2019年から4年連続で竜王戦の会場となっており、勝利者がいずれもシリーズを制覇。昨年の第2局では藤井が天敵・豊島に通算成績で初めて勝ち越して苦手意識を払しょくし、4連勝での竜王奪取につなげた。まさに「仁和寺を制する者が竜王を制す」といえる。
第3局は28、29日に静岡県富士宮市「割烹旅館 たちばな」で指される。藤井は「内容をしっかり振り返り、次局以降につなげたい」と意欲。一方の広瀬は「封じ手明けからあまり読んでなかった。もう少し辛抱強く指さないと。本局は見どころなく終わってしまったので、次局からはそうならないようにしっかり準備したい」と、ジンクス打破を期した。(筒井 政也)