箱根駅伝55年ぶり復帰の立大 61年ぶりシード獲得への切り札は浪人を経て入学の4年生・金城快

スポーツ報知
立大駅伝チームを支える4年の役職部員(左から)寮長の辻京佑、主将のミラー千本真章、副将の金城快

 第99回箱根駅伝予選会(10月15日、東京・立川市)で立大は6位通過し、大会史上最長となる55年ぶりの“返り咲き”で28回目の出場を決めた。歴史的快挙を成し遂げた予選会当日の夜、立大はミーティングを行い、本戦(来年1月2、3日)の目標を61年ぶりのシード権(10位以内)獲得に定めた。次なる野望の達成のための切り札が金城快(4年)。予選会では出番がなかったが、本戦では山上り5区の最有力候補だ。現3年以下はアスリート選抜入試で入部した選手が大半を占めるが、現4年は一般入試などで入部。金城は無限のガッツで天下の険に挑む。

 55年ぶりの箱根駅伝復活出場を決めた立大は、歴史的快挙達成の感激に浸ることなく、早くも次の目標に向けて走り出した。

 「予選会の日の午後6時半からチームミーティングを行い、本戦ではシード権獲得をチーム目標とすることに決まりました。現状、良くて15~16番手ですけど、あと、2か月半でシード権を取れるチームになることを目指します」。上野裕一郎監督(37)は力強く話した。

 第99回箱根駅伝予選会で6位通過。55年ぶり28回目の出場を決めた。2009年に33年ぶりに復活出場した青学大を超え、大会史上最長の“返り咲き”。箱根駅伝史に残る快挙を成し遂げた。次なる野望がシード権の獲得だ。立大がシード権を獲得すれば6位になった1962年以来、61年ぶり。2009年に43年ぶりにシードを獲得した明大を抜き「シード返り咲き」も大会史上最長記録になる。

 上野監督が本戦に向けて「切り札」として期待している選手が金城だ。「チームで一番練習する。精神的支柱の選手です。上りが得意なので、本戦では5区で期待しています」と指揮官は明かす。

 予選会は各校14人の登録選手の中から12人がハーフマラソンを一斉スタート、上位10人のハーフマラソンの合計タイムで10枠の本戦出場権を競う。金城は4年生で唯一、14人の登録メンバーには名を連ねたが、出走メンバーから外れた。チーム全員からの信頼が厚い金城は、残り1キロ地点で上野監督の指示を伝える重要な役割で予選会突破に貢献した。「箱根駅伝出場を決めてくれた後輩たちに心から感謝します」と金城は感激の表情で話した。

 2018年11月、立大は2024年の創立150周年記念事業として「立教箱根駅伝2024」をたちあげ、上野監督を招へい。本格的な強化に着手した。上野監督は2019年から積極的な選手勧誘活動を開始。20年春、高校時代に実績を残した有望選手がアスリート選抜入試による「強化1期生」として入学した。それが高校駅伝強豪校の熊本・九州学院出身の中山凜斗、東京・国学院久我山出身の関口絢太ら現3年生だ。

 19年春に入学した現4年生は一般入試や付属高からの内部進学によって立大駅伝チームの門をたたいた選手たちだ。

 金城は4年前の衝撃的なニュースを感慨深い表情で振り返る。

 「浪人中の11月に、立大が箱根駅伝を目指して上野監督が就任する、というニュースを聞きました。実は現役では立大に不合格でした。でも、次は絶対に立大に合格して箱根駅伝を走る、と決めました」

 栃木・作新学院高を卒業後、浪人生活を送っていた金城は受験勉強のやる気がさらに高まった。翌春、立大コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科に合格。大きな志を抱いて陸上競技部に入部した。人一倍、練習に励み「箱根への道」をひた走った。

 ただ、予選会の戦いは厳しかった。1年時、立大は23位、個人はチーム内8位。2年時、立大は28位、で個人はチーム内11位。3年時、立大は16位に躍進したが、金城は出番なしだった。

 それでも、金城の箱根への思いは決して冷めることはなかった。「今の3年生が入学してきて彼らの強さを肌で感じた。彼らと一緒に練習すれば絶対に箱根駅伝に出られると思っていました」と明言する。今年の夏合宿でも金城はチームのだれよりも走り込んだ。主力の中山、関口、林虎大朗(2年)らは「金城さんの努力はすごい」と口をそろえて話す。

 予選会6位通過の発表から約5時間後。予選会を走らなかった控え組の練習が拠点の埼玉・新座市で始まった。練習前の集合で上野監督は選手に熱く訴えた。

 「応援、ありがとう。お陰で、55年ぶりに箱根駅伝に出ることが決まりました。みんな(予選会メンバーへの)サポートで疲れていると思うけど、今日から箱根駅伝メンバー選考が始まります。みんなに箱根駅伝を走るチャンスがある」

 金城は目をギラギラに輝かせて3000メートルのタイムトライアル+6000メートルのペース走というハードな練習に挑んだ。

 11月19日には、各校の5区候補が集結する「激坂最速王決定戦2022@ターンパイク箱根」に出場する。上野監督は金城に「現時点、5区の最有力候補であることは間違いない。激坂最速王決定戦ではチームのだれもが認める走りをしてほしい」と熱いゲキを飛ばす。

 来春、不動産会社への就職が内定しており、箱根駅伝を最後に競技の第一線から退く。「持って生まれた能力はアスリート選抜で入ってきた後輩たちに比べて低いことは分かっています。でも、そんな僕にも上野監督は目をかけて、手をかけて指導してくれました。最後に恩返しをしたい」と言葉に力を込めて話す。

 もし、金城が現役で立大に合格していたら今春、卒業して、55年ぶりに予選会突破を果たした今のチームにいなかった。運命的な巡り合わせで挑む第99回箱根駅伝。「5区を区間1ケタ順位で走りたい」と強い意欲を示した。

 立大のタスキの色は「江戸紫」。江戸時代に武蔵野に生えるムラサキソウを江戸で染めた青みのある紫、とされる。渋い響きのあるタスキは金城によく似合うはずだ。(竹内 達朗)

 〇…主将のミラー千本真章(みらーちもと・まっくす)、副将の金城快、寮長の辻京佑の4年生が精神的支柱としてチームを支える。3年時に関東学生対校2部1500メートルで優勝したスピードランナーのミラー千本は「みんながつくってくれたチャンスを見逃すことはできません。残り2か月半、6区出場を目指して頑張ります」と意欲的に話す。上野監督は「全員に箱根駅伝を走るチャンスがある。激しいメンバー争いがチームを強くします」と主将の意気込みを歓迎した。

 ◆立大陸上競技部 箱根駅伝が始まった1920年に創部。箱根駅伝には1934年に初出場。最高成績は3位(1957年)。1934~37年に4年連続で出場し、1937年に10区区間賞に輝いた青地球磨男は1936年ベルリン五輪800メートル出場(予選敗退)。岡田久美子は2016年リオ五輪女子20キロ競歩16位。昨年の東京五輪でも同種目15位。タスキの色は江戸紫。長距離部員は選手47人、学生スタッフ16人。練習拠点は埼玉・新座市。

 ◆金城 快(きんじょう・かい)2000年2月3日、栃木・高根沢町生まれ。22歳。栃木・作新学院高時代の5000メートル自己ベスト記録は15分8秒。2019年、一浪を経て立大入学。現在の自己ベストは5000メートル14分34秒95、1万メートル30分36秒95、ハーフマラソン1時間7分11秒。

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