【箱根への道】立大、隠し玉・金城快で66ぶりシード獲得だ…一般入試の雑草魂、チーム一練習量で5区挑む

スポーツ報知
予選会終了後、練習に励む金城。立大本戦の切り札として期待される

 第99回箱根駅伝予選会(15日、東京・立川市)で立大は6位通過。大会史上最長となる55年ぶりの“返り咲き”で28回目の出場を決めた。当日夜にミーティングを行い、本戦(来年1月2、3日)の目標をシード権(10位以内)獲得に定めた。その切り札が金城快(4年)。予選会では出番がなかったが、本戦は5区の最有力候補だ。3年生以下はアスリート選抜入試で入部した選手が大半だが、現4年は一般入試などで入部。金城は無限のガッツで天下の険に挑む。

 55年ぶりの箱根駅伝復活出場を決めた立大は早くも次の目標へ走り出した。「予選会の日の夜にミーティングを行い、本戦ではシード権獲得を目標とすることに決まりました」。上野裕一郎監督(37)は話した。

 09年に33年ぶりに復活出場した青学大を超え、大会史上最長の“返り咲き”を飾った立大の次なる野望がシード権の獲得。シード権を獲得すれば6位だった62年以来、61年ぶり。09年に43年ぶりのシードを獲得した明大を抜き、シード返り咲きも史上最長記録になる。

 上野監督が本戦に向けて切り札として期待する選手が金城だ。「チームで一番練習します。上りが得意なので5区で期待しています」と明かす。予選会では4年生で唯一、14人の登録選手に入ったが、12人の出走選手から外れた。残り1キロ地点で上野監督の指示を伝える役割で貢献。「後輩たちに感謝します」と口にした。

 18年11月、立大は24年の創立150周年記念事業として「立教箱根駅伝2024」をたち上げ、本格的な強化に着手した。上野監督は19年から積極的な選手勧誘活動を開始。20年春、高校時代に実績を残した有望選手がアスリート選抜入試で入学した。それが熊本・九州学院出身の中山凜斗ら現3年生だ。

 19年春に入学した現4年生は一般入試や付属高からの内部進学。金城は4年前の衝撃的なニュースを感慨深い表情で振り返る。

 「浪人中の11月に、立大のニュースを聞きました。現役では不合格でしたけど、次は絶対に合格して箱根駅伝を走る、と決めました」

 翌春、立大コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科に合格。人一倍、練習に励み「箱根への道」をひた走った。「今の3年生が入学してきて彼らの強さを肌で感じた。一緒に練習すれば絶対に箱根駅伝に出られると思っていた」。今年の夏合宿でも誰よりも走り込んだ。主力の中山、関口絢太(3年)、林虎大朗(2年)らは「金城さんの努力はすごい」と口をそろえて話す。

 予選会6位通過が発表された約5時間後。拠点の埼玉・新座市で、予選会を走らなかった控え組の練習が始まった。金城は目をギラギラ輝かせて3000メートルのタイムトライアル+6000メートルペース走の練習に挑んだ。11月19日には、各校の5区候補が集結する「激坂最速王決定戦2022@ターンパイク箱根」に出場する。上野監督は金城に「激坂最速王決定戦でチームの誰もが認める走りをしてほしい」とゲキを飛ばす。

 不動産会社に内定しており、箱根駅伝を最後に競技の第一線から退く。「能力は後輩たちに比べて低いことは分かっています。でも、そんな僕にも上野監督は目をかけて指導してくれた。恩返しをしたい」と言葉に力を込める。もし、現役で立大に合格していたら、今のチームにいなかった。運命的な巡り合わせで挑む23年の新春。「5区を区間1ケタ順位で走りたい」と意気込む。立大のタスキの色は「江戸紫」。渋い響きのあるタスキは金城によく似合う。(竹内 達朗)

 ◆金城 快(きんじょう・かい)2000年2月3日、栃木・高根沢町生まれ。22歳。栃木・作新学院高時代、5000メートル自己ベスト記録は15分8秒。19年、1浪を経て立大入学。現在の自己ベストは5000メートル14分34秒95、1万メートル30分36秒95、ハーフマラソン1時間7分11秒。

 ◆上野監督はスター時代から指導者の器

 上野監督の指導者としての資質を最初に見抜いたのは、長野・佐久長聖高時代の恩師で現在は東海大を率いる両角速監督(56)だ。

 「中大時代、上野は夏休みや冬休みに帰省した時、必ず高校のグラウンドに顔を出してくれた。すでに箱根駅伝のスター選手になっていたし、茶髪の派手な格好をしていたけど、絶対に偉ぶることはなかった。目線を高校生に落としてアドバイスしていた。将来、いい指導者になると思った」

 両角監督は約15年前の思い出をしみじみと語った。

 今回の予選会。立大が6位、東海大が9位だった。発表後、両角監督が笑顔で「参りました。いろいろ教えてください」と話しかけると、上野監督はこれ以上、できないというくらいに頭を低くして「勘弁してください」と苦笑いして返した。

 両角監督と上野監督の「師弟対決」は今大会の見どころのひとつとなる。

 ◆4年生が精神的支柱 全員チャンスある

 〇…主将のミラー千本真章(みらーちもと・まっくす)、副将の金城、寮長の辻京佑の4年生が精神的支柱としてチームを支える。3年時に関東学生対校2部1500メートルで優勝したスピードランナーのミラー千本は「みんながつくってくれたチャンスを見逃すことはできません。残り2か月半、6区出場を目指して頑張ります」と意欲的に話した。上野監督は「全員に箱根駅伝を走るチャンスがある。激しいメンバー争いがチームを強くします」と主将の意気込みを歓迎した。

 ◆立大陸上競技部 箱根駅伝が始まった1920年に創部。箱根駅伝には34年に初出場。最高成績は3位(57年)。34~37年に4年連続で出場し、37年に10区区間賞に輝いた青地球磨男は36年ベルリン五輪800メートル出場(予選敗退)。岡田久美子は2016年リオ五輪女子20キロ競歩16位。21年東京五輪でも同15位。タスキの色は江戸紫。長距離部員は選手47人、学生スタッフ16人。練習拠点は埼玉・新座市。

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