【巨人1位】原辰徳監督 服全て新調、道順も変えてくじ6連敗で止めた 浅野翔吾を引き当て「歓喜の血が全身に」

スポーツ報知
高松商・浅野翔吾の交渉権を獲得してガッツポーズする巨人・原辰徳監督(左)。右は阪神・岡田彰布監督(代表撮影)

◆2022年 プロ野球ドラフト会議 Supported by リポビタンD(20日)

 巨人は20日、「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で1位指名した高松商・浅野翔吾外野手(17)の交渉権を阪神との競合の末、原辰徳監督(64)が当たりくじを引いて獲得した。12球団最速で1位指名を公表していた球団からの指名に、高校通算68本塁打を誇るスラッガーは大喜び。目標に「首位打者」を掲げた。巨人はさっそく21日に指名あいさつに赴く。

 待望の五文字が目に飛び込んできた。原監督は「交渉権確定」のハンコを確認した瞬間、我を忘れて右拳を突き上げていた。マスク越しにも分かる笑みを浮かべ、目を充血させながらもう一度、右拳を振り上げた。そのしぐさが、恋人を射止めた歓喜を雄弁に語った。

 「いやもう、特に『こうなったらこうしよう』とは思ってませんでした。自然の中で私自身の素が出たと思います」

 9月28日に12球団最速で1位指名を公表していた高松商・浅野は、阪神と競合した。史上初めてGT一騎打ちとなった抽選。先攻の原監督は右手で上のくじを一度はつかみ損ねたが、信じてつかみ直した。それが当たりくじだった。「久々に私自身も歓喜の血が全身に湧いたような気がしました」。岡田阪神との“伝統の一戦”を制した。

 指揮官の執念の験担ぎが実った。これまでにドラフトの抽選は通算1勝11敗、実に自身6連敗中だった。何かを変えなくては―。胸に温めていた秘策を実行した。この日は午前のG球場での秋季練習から帰宅後に準備を始めた。「何とか新たな一歩というものを踏み込むことができたらなという願望の中で」。スーツもネクタイも靴も新調したものを下ろした。例年同様となった会場へ向かう際の道順も変えた。屈辱の過去とは“決別”して新たな原辰徳となり、決戦に勝利した。

 それくらいしても、浅野が欲しかった。高校通算68発のパワー、50メートル5秒9の俊足に遠投110メートルの強肩と走攻守を高いレベルで兼ね備えるスーパースター候補。「類いまれなる素質は皆さんが理解しているところでしょう。近々未来、巨人を担う選手になってくれると思っているし、全力で彼をサポートして育てるという決意をさらに強めております」と金の卵を預かることに、身を引き締めた。

 夢は膨らむ。近い将来、浅野本人が望む岡本和とのクリーンアップ構想も決して夢ではない。「(構想は)描いております。しかし、あまりにも期待をかけすぎるとね。時間はしっかりと費やして、ファンの前で岡本、浅野というクリーンアップが打てるようになれば一番いいね」。控室に戻って、スタッフと交わしたグータッチ。巨人と浅野の運命の糸をつないだ右手に、いつもより力がこもった。(西村 茂展)

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