Twitter facebook Instagram YouTube

三笘薫は「視野」伊東純也は「速さ」…中村憲剛氏とスポーツ報知カメラマンが指摘した2人のドリブルの違い

三笘薫と伊東純也
三笘薫と伊東純也

 カタールW杯開幕まで、20日であと1か月となった。元日本代表MFで、現役時代は川崎でMF三笘薫(25)=ブライトン=とプレーした中村憲剛氏(41)が、カタールW杯での活躍が期待される森保ジャパンのMF三笘薫、伊東純也のドリブルを解説。三笘は「視野」、伊東は「速さ」がベースにあると評した。

 スポーツ報知で日本代表担当の宮崎亮太カメラマンは、撮影者の視点で両者のドリブルを「見た」。

 * * *

 ◆中村憲剛氏は三笘薫の首に注目…真っすぐに立って視野広げ隙突く

三笘薫のドリブル連続写真(合成)
三笘薫のドリブル連続写真(合成)

 まず首を見てもらいたい。ドリブルする時、普通は重心が低くなり、それに合わせて首も曲がっていくが、三笘の首は真っすぐに立っている。視野が広がり、相手はもちろん、味方の位置も把握しやすい体勢だ。相手はドリブル以外の守備対応も頭に入れるため、選択に迷いが生じる。そこにアウトサイドの細やかなタッチで迫り、抜いていく。スピードもあるが、この「隙」を突くドリブルは天下一品だ。

 この特長を理解する選手が近くにいた方がいい。「頼むぞ」と1対1を託すよりも、周りの選手が相手を惑わすポジションを取ることによって、破壊力は何倍にも増す。ポイントは周りがいくつ選択肢を用意できるか。

 また、中学時代には中央でプレー経験があり、基礎技術はしっかりしている。特にスルーパスには、感心させられることがあった。状況判断も優れており、プレーをキャンセルできる。学習能力が高い選手でドリブルを武器にしながら、一辺倒ではなく、しっかり考え、自分のものとしてきた。

 三笘が結果を残せば、日本が決勝トーナメント進出の可能性が上がる。日本の浮沈を握る一人であることは間違いない。(元日本代表、川崎MF中村憲剛)

 ◆中村憲剛氏、伊東純也のドリブルは圧倒的なスピードがベース

伊東純也(のドリブル連続写真(合成)
伊東純也(のドリブル連続写真(合成)

 伊東純也のドリブルは圧倒的なスピードがベースになっている。言語化するにあたり「速い」という一言で片付けたくはないが、そう表現したくなるほど日本代表で一番速い。細やかなタッチ数で相手を抜くタイプではなく、そのスピードを生かし、少ないタッチで突破していく。抜くさまはダイナミックで直線的だ。そして、重心が高いままドリブルを始められる点も見逃せない。予備動作がなく、予測を遅らせる。対応した相手はノーモーションで剣を振り下ろされる感覚ではないか。

 また、どのレンジ(範囲)でも圧巻の速度で走ることも見逃せない。3メートル、10メートル、30メートル。特定のレンジが速い人はよく見かけるが、これだけどのレンジでも一級品の速度を持つ選手はあまり見たことがない。初速が求められるウィング(FW)、中間距離の速度が求められるサイドハーフ、ウィングバックと多くのポジションで活躍できる理由だと思う。相手の守備ラインの高低、自分がボールを持つ位置に関係なく、発揮できるスピード(ドリブル)は日本では唯一無二だ。

 守備のポジショニングも良く、速度を武器に変え、奪取につなげている。攻守でここまで使い勝手の良い選手は、誰が監督でも起用したくなる。(元日本代表、川崎MF中村憲剛)

 ◆予測が難しい三笘薫、対照的な伊東純也…カメラマンが見たドリブルの違い

エクアドル戦の前半、攻め上がる三笘薫(カメラ・宮崎 亮太)
エクアドル戦の前半、攻め上がる三笘薫(カメラ・宮崎 亮太)

 爆発的なスピードや派手な個人技があるわけではない。それでも三笘薫は今の日本代表で、最も“カメラマン泣かせ”の選手だ。

 シュートなのか、パスなのか―。スポーツ撮影の基本とも言える予測を、三笘は簡単に裏切る。独特な間合いのドリブルで抜き去り、そのまま敵陣深くまで進入。ここまでは良いが、角度のない場所からラストパスを出す時もあれば、さらに狭いスペースをえぐってシュートを打つこともある。

 全プレーを撮ろうとすると、動きにピントが追いつかず、シャッターチャンスを逃しかねない。何度も冷や汗をかかされてきた。三笘がボールを持つと緊張感が高まり、自然と撮影枚数が増える。予測が難しいため、一瞬一瞬を切り取るしか“対処法”がない。ただ、カメラマンにとって厄介な選手は、対峙(たいじ)する相手も同じ。森保ジャパンにとって流れを変えられる頼もしい存在だ。

エクアドル戦の後半、突破を図る伊東純也(カメラ・宮崎 亮太)
エクアドル戦の後半、突破を図る伊東純也(カメラ・宮崎 亮太)

 対照的なのが伊東純也だ。相手をいとも簡単に置き去りにする一瞬のスピードが最大の武器。プレー自体はシンプルな選択が多く、その点で動きは捕捉しやすい。

 予測不能の三笘と、爆速系の伊東。日本が誇る両翼に手を焼くのは、撮影者だけではないはずだ。(写真部・宮崎 亮太)

三笘薫と伊東純也
三笘薫のドリブル連続写真(合成)
伊東純也(のドリブル連続写真(合成)
エクアドル戦の前半、攻め上がる三笘薫(カメラ・宮崎 亮太)
エクアドル戦の後半、突破を図る伊東純也(カメラ・宮崎 亮太)
すべての写真を見る 5枚

サッカー

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年
×