【駅ペン】東海大・吉冨裕太の恩返し…失意の箱根10区と12日後の「予行演習ラン」

スポーツ報知
円陣でレースを振り返る予選会9位の東海大(カメラ・堺 恒志)

◆報知新聞社後援 第99回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)予選会(15日、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地スタート~立川市街地~国営昭和記念公園ゴール=21・0975キロ)

 第99回箱根駅伝予選会を最も緊張して見ていた一人は、第98回箱根駅伝本戦で東海大の10区を担った吉冨裕太(23)=西鉄=ではないだろうか。

 今年の1月3日。吉冨は最初で最後の箱根駅伝に臨んだが、10区の23キロはあまりにも長く苦かった。8位でタスキを受けたが、終盤にペースダウン。両角速監督(56)から「吉冨、目を覚ませ!」とゲキが飛んだが、体は動かず…。3校に抜かれ、11位で大手町のゴールにたどり着いた。東海大は10位の法大と52秒差でシード権を逃した。

 

 失意の大手町から12日後の1月15日、吉冨の姿は東京・立川市の国営昭和記念公園にあった。公園内を走るハーフマラソン大会に東海大勢が出場。3年生(当時)以下の新チームの中で4年生の吉冨も気力を振り絞って走った。先頭で後輩たちを引っ張りながら、1時間4分39秒の自己ベストで2位と奮闘した。

 「僕のせいでシード権を落としてしまい、本当に申し訳なく思います。今、僕にできることは何か、と考え、後輩のためのペースメーカーを兼ねて出場しました」。吉冨は話した。

 両角監督は「謝る必要はない。後輩たちのために目が覚めるような走りをしてくれた」と感謝した。その大会と予選会のコースは一部重複。指揮官は「公園内のアップダウンを経験できたことは大きかった」と明かす。10か月前から入念な準備を行い、この日の予選会に臨んだ。結果は9位。満足できる順位ではないが、無事に箱根路に駒を進めた。

 結果発表の後、両角監督のもとに吉冨から「お疲れさまでした」と電話があった。「吉冨のお陰で苦労させられたよ」。指揮官は冗談めかして返した後「後輩たちに声をかけてやってくれ」と伝えた。「明るい口調でした。ニューイヤー(全日本実業団)駅伝で頑張ってほしい」と笑顔で話した。

 鶴見―大手町の23キロ。吉冨にとって苦しかった1時間12分53秒(区間19位)も、いつかは、かけがえのない思い出になる、と思いたい。(竹内 達朗)

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×