◆明治安田生命J1リーグ ▽第32節 G大阪2―0横浜FM(8日、日産ス)
首位の横浜FMがG大阪に0―2で敗れ、7試合ぶりの敗戦で優勝を決めることはできなかった。シュート22本を放つも得点が奪えず、無敗だった今季ホームで15戦目にして初の黒星がついた。2位の川崎は、FW小林悠(35)の“右ふくらはぎ外側弾”が決勝点となり、清水を3―2で下して3連覇への望みをつないだ。これで3試合を残して、両チームの勝ち点差は「8」から「5」に。V争いは混沌(こんとん)としてきた。
自分たちへの憤りを隠せない、選手の表情があった。多くの時間帯でボールを保持し、敵陣へ攻め入ってシュート22本(枠内8)を放ったが、1点は遠く。マスカット監督は7試合ぶりの敗戦に「フラストレーションのたまる試合。チャンスは作ったが結果を残せず、悔しい気持ちでいっぱい」と頭を横に振った。
開始45秒でMF喜田が枠内へミドルシュートを飛ばすなど、序盤から立て続けに好機を演出した。しかしG大阪GK東口の好セーブにも阻まれ、怒とうの攻撃で決めきれない。前半8分にセットプレーでファーサイドを狙われ失点した後は、”完全守備態勢”に入ったG大阪に挑むも、後半34分にCKの流れから追加点を許した。手痛い黒星で、2位・川崎との勝ち点差は5に縮まった。
9月以降の5失点はすべてセットプレー絡み。編成の都合上起こり得る高さ不足の弱点を突かれる形となっている。チームは改善点を言及しつつ、「1点でも多くというのがマリノスの哲学」(喜田)と、より得点を狙う考えは変わらない。しかし、この日は指揮官も「ゴール前の判断は考えないといけない」とクロスやパス、シュートの選択、精度を含め、アイデアがもう一つ欲しかった。一発で先制点を奪われ、固めた守備を崩しきれずに勝利を逃す。同様のパターンはこれまでにもあった。喜田は「ああいう相手を凌駕(りょうが)して勝っていくことが求められる」。王者となるにあたり、乗り越えなければいけない壁だ。
今季ホーム15戦目にして初の黒星を喫した。GK高丘は「34分の1という姿勢は今までと変わらない」と強調したが、優勝争いの重圧がまったくのゼロとは言いがたい。「プレッシャーはあるかもしれないけど、それを受け入れる勝負強さを見せていきたい」と自分たちとの戦いも続く。今季リーグ戦で連敗はなく、必ずはい上がる強さを見せてきた。「死にものぐるいで戦っていく」とキャプテンの喜田も表情を引き締め、前を向いた。次節こそ会心のゲームで優勝をたぐり寄せるため、より完成度を高めて攻め尽くす。(小口 瑞乃)