◆明治安田生命J1リーグ 第31節 神戸 1―0 福岡(1日・ベスト電器スタジアム)
神戸はアウェーで福岡に競り勝ち、今季2度目の3連勝。下位同士の直接対決を制し12位に浮上した。
試合後のミックスゾーン。ひとしきり話をして、帰ろうとしたFW大迫勇也に「もう1個だけ…」とお願いすると快く応じてくれた。表情もどこか柔らかい。公式戦のフル出場は、4月25日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ・チェンライ(タイ)戦以来約5か月ぶり。「やっと痛いとこがなくなったんで。これからですね。遅いけど」。思い通り体を動かせることへの充実感がにじみ出ていた。
カタールW杯に臨む日本代表メンバー発表まで1か月。先月のドイツ遠征で1トップに入った古橋亨梧、前田大然、上田綺世、町野修斗の4選手が抜きんでたインパクトを残していないとあって、けがの影響で2月のアジア最終予選を最後に代表活動に参加していない大迫への待望論も高まっているように思う。では実際問題、エースは間に合うのか。後半開始から出場し2得点をマークした9月18日のG大阪戦と福岡戦を現地で見た印象としては、まったく問題ないと確信している。
ゴールで結果を残したことはもちろんだが、それ以上に目を引くのは前線でターゲットマンとなれる点だ。まず空中戦に強い。本人のジャンプが特段高いというよりも、DFに良いタイミングで競らさせないように見える。相手を背負ってボールをキープするプレーも懐が深く、簡単に失わない。福岡戦で決勝点を呼び込んだ絶妙トラップも、ポストプレーヤーとしての能力の高さを示している。ドイツ遠征でのエクアドル戦では、後半から入った上田が強じんなフィジカルを生かしたポストプレーで流れを変えたが、ここ2戦の大迫のクオリティーの高さは、まさに森保ジャパンをけん引してきたストライカーの姿だった。
もちろんハイプレスでDFラインを追い回す役なら前田や古橋が適任だが、総合的に考えるのであればセンターFWは大迫が1番手でいい。負傷者に関して「本大会までにしっかり治って選考対象になる」と話していた森保一監督も、本大会での構想に含んでいるのではないだろうか。メンバー発表までの公式戦は残り3試合。アクシデントが起こらないことを願いつつ、ギアが入った大迫のプレーに目をこらしたい。(神戸担当・種村 亮)