首位の横浜FMはMF水沼宏太の2ゴールなどで、敵地で名古屋に4―0と大勝。2位・川崎が札幌に敗れたため、勝ち点差を8に広げた。次節・G大阪戦(8日、日産ス)で3季ぶり優勝が決まる可能性も出てきた。
横浜Mのスタイルが凝縮された先制点だった。前半17分、GK高丘から中央にパスが通ると、FWアンデルソンロペスのスルーパスに抜けたDF永戸が敵陣深くまで走り込み、折り返し。水沼が滑り込みながら右足を合わせ、ネットを揺らした。「みんなでつないで崩したゴール。勝ち取れてうれしい」と会心のゴールに喜び。後半開始58秒にもMF喜田のスルーパスを突き刺して今季7得点目を挙げた。ハットトリックはならず「実力です」と苦笑いしたが、その後もゴール前でのチャンスに顔を出し、守備でも足がつるほど相手を追い込んだ。チームは攻撃の手を一切緩めず、終盤にFWレオセアラとU―21日本代表帰りのMF藤田が加点。3年ぶりの敵地勝利を4発大勝で飾った。
優勝争いの重圧にも、「開幕から目の前の1試合にメンタルを整えて全力を注げている」(水沼)と動じることはない。各クラブが優勝や降格を争う佳境に入った9月以降、4勝2分けと勝負強さを見せて勝ち点を積み上げてきた。前節からのリーグ中断期間2週間も名古屋戦の準備に集中。心身ともに100%に調子を上げてきた水沼、力強い奪取で起点となり続けたMF渡辺と喜田、2ゴールを演出したFW仲川、「初めて」の右サイドバックで相手のアタッカーを封じたDF角田と、一人一人が役割をまっとうした。
またこの日は、全治4~6週間とされていたMF西村が「今日の試合は多少無理をしたけど、それ以上にこのチームで優勝したいという気持ち、それに自分が貢献できるのではないかという気持ちが上回った。監督に『いける』と言った」と9月10日・福岡戦の負傷から脅威的な回復力を見せて3週間ほどで復帰。DF小池龍も福岡戦以来のピッチに立ち、心強い存在が帰ってきた。
ホームで迎える次節のG大阪戦、3季ぶり優勝が決まる可能性も出てきた。横浜FMの勝利、かつ2位の川崎が引き分け以下となることが条件だ。それでもチームファーストの精神にあふれる水沼は、ぶれずに自分たちに矢印を向ける姿勢を強調し、「1試合にかける思いを全員が全力で表現したい」と言い切った。悲願の頂点まであと少し。一丸となってつかみにいく。