ヤクルト・坂口智隆外野手(38)が30日、神宮球場で引退会見を行った。
全力プレーを貫いた野球人生。「小さい頃、楽しいスポーツだなと思って始めて。学生になり、プロ野球に入らせてもらって、好きだったものでお金を稼ぐのはこんなに苦しいものなのかと思ったのですが、苦しくてもやっぱり野球が好きという気持ちはなくならなかった」と振り返った。
近鉄2年、オリックス11年、ヤクルト7年と計20年間のプロ野球生活。通算1525安打を放ちながら「やり残したことしかないと思います」と話し、あくなき向上心をのぞかせた。
特に印象に残っていることは「華やかなではないですけど、ケガをした場面は全部覚えています。オリックス時代にダイビングしてケガしたとき、デッドボール、自打球で骨折、鮮明に覚えています」と話した。
度重なる故障にも、「ケガしてもそのたびに応援して頂いたファンの方がいたので」と奮い立った。
「ファンサービスというか、上手だな、ああいうふうにしたいなと思う選手もいっぱいいましたけど、自分はできなかった。自分の場合はプレーで魅せるしかない。アウトになってもミスしても全て全力で取り組む。応援して頂いて感謝しています」と思いを込めた。
近鉄、オリックス、ヤクルトそれぞれの球団へ感謝の思いを口にし、「仲間に恵まれた」とも話した。
昨年の古巣・オリックスとの日本シリーズ、京セラドーム大阪で大きな拍手が送られた。「感動したというかね、自分でもビックリするぐらい360度から拍手頂いて、なかなか経験することできないですし、頑張ってて良かったなと思いました」と振り替えた。
NPB最後の近鉄戦士として「責任を背負って」強い気持ちで戦ってきた。近鉄戦士では、独立リーグ・香川で選手兼任コーチとして現役を続けている1年先輩の近藤一樹投手がいる。「(引退の)報告させてもらった時、コンちゃんはまだまだ投げていて下さいと言わせてもらいました。近藤さんが納得できるまで投げ続けて欲しいなと思います」と思いを託した。
今後に向けて「辞めるってなっても野球が好きですし、ずっとずっと死ぬまで野球と関わっていたい。これから野球を見る時は勉強のつもりで見ようと思います。野球があったからいろんな人と知り合えたし、人として成長できたと思う。野球があって良かったなと思います」と“野球愛”を強調した。
球団は10月3日のシーズン最終戦、DeNA戦(神宮)で内川、嶋とともに引退セレモニーを行う。