師弟対談が実現 佐藤駿「昨季学んだことを全て出し切りたい」無良崇人コーチ「やる気スイッチが入って」今季&羽生結弦さんプロ転向の思い語る

スポーツ報知
対談した佐藤駿(右)と無良崇人(カメラ・矢口 亨)

 フィギュアスケート男子で19年ジュニアグランプリファイナル優勝の佐藤駿(明大)と、14年四大陸選手権覇者の無良崇人コーチが対談。佐藤は2月の左肩手術を乗り越え、22―23年シーズンを迎える。復帰への第1歩となる今季へ、選手・コーチ目線からお互いの思いを語った。また佐藤は幼少期から憧れ、無良コーチは長年ともに戦い続けた羽生結弦さんのプロ転向についても、それぞれ胸の内を明かした。(取材構成=高木恵、小林玲花、取材日=2022年9月7日)

【無良】「2月に肩の手術をして、7月の全日本合宿から4回転を再開したよね」

【佐藤】「そうですね。ほんとに目標がなくて、何を目指すかわかんなくて。リンクに来ても、ジャンプが危ない、ステップもちょっとしか動けない、スピンは危ない、『することねえな~』って感じで、3か月くらいずっと続いていましたね。ほんとに何をモチベーションにしていいのか分からなくて・・・。4月くらいまでですかね。大学に入る4月くらいまではそんな感じで、入ってからはちょっと変わったかなと思います」

【無良】「お医者さんからのGOサインが出るまでは結局、何かあるとやばいから、できることも限られちゃうし。ってなると、『うーん、なにしよっかな』になるのは、もう仕方ないと思う。全日本合宿の前だっけ?トリプルジャンプもおかしくなって」

【佐藤】「ああ~、ありました。ドリーム(・オン・アイス)の前ですね。『あと1週間だ!やばい』ってなって」

【無良】「トリプルサルコーも跳べませんって感じで」

【佐藤】「どうしようってなって。結構焦りましたね、やばいって」

【無良】「あのときばかりは、今試合したら俺が勝てるかもしれないって(笑い)」

【佐藤】「みんなに言われました、それ」

【無良】「昨季は五輪シーズンを経験してみて、どうだった?」

【佐藤】「初めてシニアのGPシリーズに出ることができて、すごいいろんな経験をさせていただいたので、これを機に、昨季学んだことを全て出し切りたいなと思っています。今季は、波がないようにというか。ずっと調子のいい状態で、シーズンが終えられるように、まずはそれを目標にしていこうと思っています」

【無良】「 五輪シーズンは彼自身、意欲的に練習を『ああいうふうにしよう』『こういうふうにしよう』って組み立てしながらずっとやってきていたんで。良い状態で試合に出してあげられるんじゃないかなっていう気持ちもあった中で、肩(の負傷)があって。でも、その中で全日本前も、練習でも状態や動きは良かった。ジャンプの調子もすごくいい状態だったし、もちろん彼自身も『いけるんじゃないかな』『いい試合が出来るんじゃないか』って気持ちがあったと思うので、(結果が伴わず)なおさらすごい悔しさはあったと思うんですけどね。その経験は経験だし、最後の五輪シーズンとかじゃないから、彼は学べている。先シーズン経験したことは経験したことだし、逆に、あれだけ詰めてやるってことが実感できていたと思うので。実感出来てたでしょ?」

【佐藤】「はい。出来ました」

【無良】「『そこまで絶対できる』っていうところまで作ることはできていたんで、今季もう1回頑張って、シーズンに向けてしっかり調整して。あと昨季は波が大きいことも多かったので、その波自体がもう少し緩やかな感じになってくってことがシニアで戦って行く上で必要かなと思う。崩れても、(最低限)ここで止めるってところを作っておかないといけないかなとは思います」

【佐藤】「正直、シーズンまで間に合うのかって心配はあったんですけど、それでもここまで4回転ルッツを降りて、4回転もある程度、持ってこれたのは、自分の中でも褒めるべきところかなと思っているので。今月末試合(東京選手権)があるので、それに向けて、もっと調子を上げて行って、初戦でいい成績が残せるようにしたいなと思います」

【無良】「4回転の調子も、実際見ている感じ問題なくできているので、あとはちょっとシーズン後半が空いてしまっているところはあるので、そこの試合の感覚は、実際大会に出てみてつかんで。またそれをベースにGPに出て、どう挑戦するかみたいなところになってくるかな。実際、いざやるってなったら、さらっと簡単に跳んじゃうんで。やる気スイッチが入っている状態の彼は、迷いなくいってくれてれば、全然問題ないかなと思うんですけど(笑い)。結構男性スケーター特有なところっていうか、ショーとか試合の公式練習とか、ああいうところの空気で跳ぶのすごい好きでしょ?」

【佐藤】「はい、大好きです(笑い)」

【無良】「そういうもんなんですよ、やっぱり。自分の技にすごい自信を持っているから、みんなで跳ぶっていうのが、すごいやる気になるタイプだと思うんで。うまく生かしながら、試合で練習してきた通りにやってくれればいいかなって思います」

【佐藤】「(やる気スイッチを)感じるときはあります。ジャンプを跳ぶ前から、入ったときはもう全然違いますね。失敗する気がしないですね。試合は試合でまた別の雰囲気なんで、なんていうか、なんだろう・・・。試合は逆にスイッチが入らない方がいい感じはしますね。スイッチが入ると、空回りするイメージが。だから何も考えずに、『優勝できたらいいな』くらいの感じで行くとちょうどいい感じでいけると思います。狙いすぎるとパンクしたり、空回りしたりするかなって」

【無良】「試合で自分の名前がコールされて、スタート位置につくまでの間だったり、6分間の動きだったりとか、見ているとソワソワしているのがすごい分かる。実際に、試合でいざ自分の曲がかかって、動き出して、1発目のジャンプに行くまでも、例えば『いつもよりスピードを出し過ぎてるよ』『意気込んで行きすぎてるよ』ってことがあって。あとは、目が泳いじゃうとか。心配なのはもちろん分かるけど、もっと彼自身が試合を経験して、いろんな経験をしてくれば、落ち着いて『この感じだったら大丈夫』って自信につながってくると思うんですよ。ただ、そこがちょっと足りないから、実際に『これでいけんのかな?』って、すごい迷っちゃう。不用意に力が入ったりするのがすごい見えるので、そこは経験を積んでいくことが一番必要かなと見ていて思います」

【佐藤】「あんまりそういう話はしたことなくて。今初めてしました(笑い)」

【無良】「試合の時に『ちょっとお前、力入りすぎてるよ』って言っても、やっぱり本人が1番集中したいだろうし、やっている側からすれば、今自分に何が必要なのか、いろんなことを考えていると思うので。こっちも『お前ちょっと、こういうふうにしろ』って言ってもダメ。そこはやる側じゃなくなったから分かることでもあるので。先生達が自分の本番の前にソワソワする理由が、こういうことなんだっていうのがすごくよく分かった(笑い)」

【佐藤】「個人的にも、海外試合や、試合の経験値が足りないと思っているので。もっと大きい試合にたくさん出ないとダメかなと。もっと試合慣れをするのが、課題かなと思っています」

【無良】「今季の男子フィギュア界は、ゆづ(羽生結弦)がプロ転向するという大きな出来事があったよね」

【佐藤】「突然のことだったので、自分もすごく驚きました。正直なところを言うと、まだ選手を続けて欲しかったかなという思いはあるんですけど。でも、プロに行くということで、スケートから離れるわけではないので。いつでも羽生選手のスケートを見られるので。アイスショーとか、そういった部分で、またいろんなものを見て、覚えて行けたらいいなと思います」

【無良】「長年一緒に試合をしてきたし、そういう中で、やっぱりあのレベルを維持するというか、常に先を見てずっと目標に向かって、自分がどういうステップを踏んでいけばいいのかみたいなのを長年やってきている選手だったから。特にプレッシャーのかかる試合ってたくさんあったと思うし、特に、何て言うんだろ・・・。彼の性格上、求めているレベルが高い。普通の人の考えのもう一歩先を常に求めてずっとやってきていたので。実際試合に出れば絶対まだ勝てる技術力はあるし、そういうレベルに彼はいると思うんですけど。ただ、自分がいかにスケートというものを周りの見てくれている、応援してくれている人にどう返すのかっていうのを考えた結果だと思う。また新たにスケートへの携わり方、僕らが今まで考えてきた携わり方じゃない方向で多分、アプローチしてくるだろうなとも思うので。今後の活躍はすごい楽しみです。実際試合で見られなくなったことの寂しさはあります。堂々たる空気感を持って試合に臨んでいるあの姿っていうのは、印象としてはすごく大きかったので、それを見られないっていうのは、悲しいなとは思うんですけど。でも、自分が新しいものとして、体現していくって姿勢は、彼の今後の活動にどういうふうになっていくのかっていうのが楽しみですね」

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