立川談春、「芝浜」を変える! 12月に有楽町朝日ホールで独演会「いままでの芝浜、これからの芝浜」

自らに重責を課し、新たな芝浜を生み出す決意を語った立川談春(カメラ・矢口 亨)
自らに重責を課し、新たな芝浜を生み出す決意を語った立川談春(カメラ・矢口 亨)

 人気落語家・立川談春(56)が12月に東京・有楽町朝日ホールで「いままでの芝浜、これからの芝浜」(6、7、13、14日)と題した独演会を行う。

 冬の落語の代名詞とも言われ、夫婦の情愛を描いた人情噺(ばなし)「芝浜」は、談春の得意ネタのひとつ。今回はこれまで演じた「いままでの芝浜」を前半に、後半は新機軸となる「これからの芝浜」に挑むことになった。

 きっかけになったのは7月8日の安倍晋三元首相の銃撃死亡事件。価値観のゆらぎと時代の変化を感じた。「コロナ禍なのか原因は分からないけれど、人情噺はこのままでいいのかと思った」

 さらに驚がくのデータもあった。未婚男女の3分の1は異性との交際を望まない、また20年以上連れ添った夫婦の熟年離婚が過去最高を記録―。「最終的には夫婦は添い遂げないといけないと思っているオレは取り残されているのか。オレの芝浜はこのままでいいのかと思った」と言う。

 師匠・立川談志さんの「芝浜」に衝撃を受けて入門を決意した因縁の演目。「談志から離れるために自分の中にあるものを出した」と自らの「芝浜」をこしらえた。革財布を拾ったことを夢としていた女房が亭主に真実を告げる場面。談春の芝浜は、亭主がひときわ厳しく女房を言葉で追い込んでいく。「今だったらパワハラだ、セクハラだと言われかねない。今を生きる若者にリサーチでもするかな」

 有楽町朝日ホールは、88年に立川志らく(59)らと二ツ目昇進披露を行い、97年に真打ち昇進披露もした、落語家人生の節目となった場所。思い出のあるホールであえて挑戦する。「どうなるか全く分からない。談志寄りになるのか」。まだ自分でも方向性が出ていない。

 「何も変わらないで、『これから“も”芝浜』になるかもしれないね。誤植だと言い張って…」。笑いながらも、あえて苦行にも思えることに挑む思いを語る。「今の自分にとって一番つらいことをやらなきゃ。本当に苦しいことは発表しないとやらない」。自らを追い込んで、新たな境地を切り開く。

 ◆芝浜 腕利きだが酒好きで貧乏暮らしの魚屋の勝五郎は、女房に無理やり魚河岸に行かされる。浜で大金の入った革財布を拾い大喜びで家で大宴会したが、翌朝に女房からたたき起こされ、財布を拾ったのは夢だと言われた。一念発起し真面目に働き、店を構えるまでになった大みそかに女房から真相を聞く―。幕末から明治にかけて活躍した三遊亭円朝が創作した三題噺と言われているが、以前から似た噺が存在したとの説もある。戦後、3代目・桂三木助が口演し代表作となり人気演目に。立川談志は、さまざまなアプローチで表現、2007年の口演は自ら「ミューズが降りた」と語る伝説となった。

 ◆立川談春独演会「いままでの芝浜、これからの芝浜」(有楽町朝日ホール)

 ▼いままでの芝浜編 12月6、7日

 ▼これからの芝浜編 12月13、14日

 ※各日 昼の部(14時開演)、夜の部(18時半開演)の2会公演

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