メイウェザー、“花束投げ捨て”騒動の直後に語った「日本人はとても謙虚」…感謝の言葉が胸を打つ

スポーツ報知
試合後、記者会見に応じたフロイド・メイウェザー(カメラ・江畑 康二郎)

 「令和の異種格闘技戦」が終わった。25日に行われた格闘技イベント「超RIZIN」のメインイベントで、総合格闘家の朝倉未来がプロボクシング元世界5階級王者フロイド・メイウェザーにボクシングに準じたルールで挑み、壮絶に散った。一方、世界が注目したビッグマッチの直前には、信じられない出来事が起き、今も日本中で批判が巻き起こっている。

 その「出来事」は、試合前の花束贈呈式の際に起きた。袴姿の「ごぼうの党」奥野卓志代表が、メイウェザーに近寄ると持っていた花束を、元王者の足元に叩きつけたのだ。言語道断の行為に、一瞬、何が起きたか分からなかった。ざわつく会場の中、メイウェザーはボクシンググローブをはめた手で、そっと花束を拾い上げセコンドに手渡した。表情一つ変えることなく、冷静な行動だった。

 試合中も冷静だった。朝倉のパンチを何度か被弾したが、動きを観察するように、ジリジリとプレッシャーをかけていった。相手が自分より大きいこともあってか、2018年大晦日の那須川天心戦で見せたようなニヤニヤした笑みは見せなかった。幕切れは突然だった。2回終了とほぼ同時に放った強い右ストレートが朝倉の顔面をとらえ、マットに沈めた。

 試合前は、舌戦を繰り広げた両者だったが、拳を交えた後は別人のようだった。インタビュー室に姿を見せたメイウェザーは、相手について「彼のことは本当に誇りに思います」と敬意を表した。「昔から始めていたら、彼もボクシングでもいいところにいったと思う」とも言った。花束贈呈の際の出来事については語らなかったが、自ら切り出した最後の言葉が印象的だった。

 「とにかく最後に日本の皆様に本当にありがとうと言いたい。あなたたちは素晴らしい人たち、素晴らしい文化を持ち、とても謙虚な人たちです。また帰ってきたいと思います」

 日本人への感謝は来日以来、度々口にしてきた。ただこの時は、あの出来事の直後で、それまでとは違ったはずだ。それでも日本人への感謝の念を忘れず、「とても謙虚な人たち」とまで話す姿に胸を打たれた。

 榊原信行CEOは主催者として、奥野氏の行為について謝罪した上で「日本人の恥」と断罪し「出てきて謝罪すべき」と訴えた。試合後、すぐにメイウェザーと陣営に謝罪に出向いた際には「気にするな。起きたことだ」と言われ、怒られることはなかったという。

 貧しい幼少期を経て、ボクシング界の頂点をつかんだ道程には、様々な困難があったと聞く。人には言えぬ苦い思いもしただろう。そうした背景も垣間見えるような、元王者の器の大きさを感じさせる対応だった。そこに「マネー(金の亡者)」と揶揄される男の姿はなかった。

 「とても謙虚な人たち」―。そう話したあの時、元王者の脳裏には何がよぎっていたのか。記者たちをじっと見据える目が忘れられない。

(記者コラム・江畑 康二郎)

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