4年生ランナー進路特集 青学大のエース近藤幸太郎とMVP中村唯翔はそろってSGHへ MGC出場の東洋大・柏優吾はコニカミノルタへ

スポーツ報知
出雲駅伝メンバー選考レースで好走した青学大の4年生は充実の笑顔を見せた(左から目片将大、横田俊吾、中村唯翔、近藤幸太郎)

 間もなく10月。いよいよ駅伝シーズンに突入する。同時期、大学4年生は来春の卒業後の進路を固めつつある。箱根駅伝で連覇を目指す青学大のエース近藤幸太郎と前回9区で区間新記録をマークした中村唯翔はともにSGHで競技を続ける予定。北海道マラソン(8月28日)で24年パリ五輪マラソン代表選考会(MGC)の出場権を獲得した東洋大の柏優吾は進路先をコニカミノルタに絞った。出雲路、伊勢路、そして、箱根路と大学駅伝の戦いを終えた後、次の道に進む4年生ランナーの進路を特集する。(竹内 達朗)

×     ×    ×    ×    ×

 学生3大駅伝の開幕戦、出雲駅伝(10月10日、島根・出雲市)まで、あと2週間。最終戦の箱根駅伝まで、あと3か月強。4年生ランナーは最後の大学駅伝シーズンを全力で駆け抜けた後、次のステージに進む。政府が経済団体などに要請している「正式な内定日」の10月1日を直前にして、多くの選手が卒業後に進む道を決めつつある。

 昨季の第98回箱根駅伝で総合新記録(10時間43分42秒)で2年ぶり6度目の優勝を果たした青学大は最多8選手が実業団に進む予定だ。

 日本学生対校選手権5000メートルで連覇を果たしたエースの近藤は3年時の春頃まで大学卒業を機に競技の第一戦から退くことも考えていたが、その後、走力が大幅に向上すると同時に競技への意欲も向上。複数の実業団チームからオファーを受ける中で、急成長中のSGHに進む意思を固めた。箱根駅伝9区で従来の区間記録を46秒も更新し、大会MVPの金栗四三杯を獲得した中村もSGH入りが固まった。原晋監督(55)が「駅伝男」と称するほどの勝負強さを持つ岸本大紀はGMOインターネットグループ(以下GMO)へ入社予定だ。

 3年時まで箱根駅伝出場経験がないものの他校であればエース級の実力を持つ西久保遼、宮坂大器、目片将大、関口雄大、横田俊吾も、それぞれ有力な実業団チームに評価され、卒業後も競技を続行する。

 昨季の箱根駅伝2位の順大は「令和クインテット」と呼ばれる5選手は、それぞれ別の実業団チームに入社予定。伊予田達弥は富士通、野村優作はトヨタ自動車、四釜峻佑は日立物流、西沢侑真はトヨタ紡織、平駿介は九電工へ進む見込み。4年間、文字通り、同じ釜の飯を食べた仲間は卒業後、別チームで互いに刺激を与え合っていくことになる。

 北海道マラソンで2時間11分41秒で日本人トップの2位と大健闘し、学生として初めて24年パリ五輪マラソン代表選考会(MGC)の出場権を獲得した東洋大の柏は卒業後の進路先としてコニカミノルタに絞った。これまで学生3大駅伝出場は3年時の出雲駅伝(6区7位)だけで箱根駅伝の出場経験はないが、粘り強い走りが持ち味。7月の米オレゴン世界陸上男子マラソン代表の星岳(24)や東洋大の1学年先輩の宮下隼人(22)ら若手有力選手が所属するコニカミノルタでさらに走力を磨き、来年秋開催のMGCに臨むつもりだ。

 東洋大の清野(せいの)太雅も北海道マラソンで2時間12分20秒で6位と好走した。箱根駅伝では2年連続で10区で激走した実績を持つ。東洋大から初めて中国電力に進む予定だ。中国電力には今年の箱根駅伝に初出場した駿河台大の清野(きよの)太成も入社の見込み。漢字1字違いのダブル清野には「太く長い」活躍が期待される。

 国学院大のエース中西大翔と早大の1万メートル27分台ランナーの井川龍人は名門の旭化成へ進む予定。日体大のエース藤本珠輝は日体大元監督の別府健至監督(56)が率いる日立物流へ入社の見込みだ。

 1万メートルで日本学生歴代4位の27分25秒65の自己ベスト記録を持つ拓大のジョセフ・ラジニは安川電機の一員として日本で競技を続行することが見込まれている。北海道マラソンで優勝した東京国際大のルカ・ムセンビは一般企業に就職する。競技と並行し、将来、母国ケニアの発展に貢献するためにビジネスマンとしても精力的に仕事に取り組む意思を持っている。

 昨年の箱根駅伝予選会で敗退した大学にも逸材は多い。日大復活を先導する強力コンビの三山翔太はトヨタ自動車へ、松岡竜矢はカネボウに進む予定。今年の箱根駅伝では関東学生連合の一員として出場し、ハイレベルの1区で区間7位相当と好走した日本薬科大の中山雄太はJR東日本に入社の見込みだ。

 学生3大駅伝には参戦しない中距離ランナーで今年の日本選手権1500メートルを制した東海大の飯沢千翔は、渡辺康幸監督(49)が率いる住友電工に進む予定で、さらにスピードに磨きをかける。

 今年度の4年生で「ドラフト1位」というべき存在感を持つ駒大の田沢廉の進路先をめぐる話し合いは大詰めに入っている模様で10月以降に正式発表される。昨年12月に1万メートルで日本歴代2位&日本人学生新記録の27分23秒44をマークし、今年の米オレゴン世界陸上にも出場した大型ランナーの決断が注目される。

 一方で、GMOは8月に創価大の嶋津雄大が来年4月から所属することを正式発表した。嶋津は選手登録では4年生だが、実質は「5年生」。これまで3回の箱根駅伝では全て激走。2年時は10区で区間新記録(当時)をマークし、創価大初のシード権獲得の立役者に。3年時は4区区間2位の快走で首位で中継所にタスキをつないだ。4年時は再び4区を走り、区間賞を獲得した。1年時に箱根駅伝の予選会と本戦いずれも選手登録されなかったため、5年目も出場資格を持つ。闘志あふれる走りが魅力だ。嶋津はGMOを通じて「日本のトップを目指すチームに緊張はしていますが、応援してくださる方々の声が、いつも自分の心と目の支えになっています。これからも自分らしい走りで、皆さまに勇気と感動をお届け出来るように頑張ります!」などと気持ちがこもったコメントを発表している。

 箱根駅伝は「世界で通用する選手を育成する」という理念を掲げ、1920年に創設された。戦火により5回、中止された年があったが、今年度に99回、来年度に区切りの100回大会を迎える。箱根駅伝を提唱した金栗四三翁らの思いを受けて、学生ランナーは箱根路の戦いを終えた後、箱根の山より、はるかに高い頂きを目指す。

 〇…競技を続行する選手がいる一方で、大学卒業を機に第一線から引退する選手もいる。昨季の箱根駅伝10区で区間新記録をマークして優勝のゴールテープを切った中倉啓敦は大手の生命保険会社に就職予定。中国電力のサラリーマン時代に「伝説の営業マン」と呼ばれた青学大の原監督は「立派なビジネスマンになってほしい」とエール。ランニングシューズを脱ぐことを決めた選手は箱根駅伝で「花道」を飾るため、ラストスパートに入る。卒業後は競技経験を生かし、新たな道で奮闘を期す。

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×