【番記者の視点】浦和・小泉佳穂「エネルギーが大きい。そこに頼ってる」 不在で痛感する酒井宏樹の存在感

スポーツ報知
C大阪戦の後半8分、浦和・小泉佳穂(左)がこぼれ球をゴールに押し込み同点に追いつく (カメラ・豊田 秀一)

◆YBCルヴァン杯▽準決勝・第1戦 C大阪1―1浦和(21日・ヨドコウ)

 そこに彼はいないのに、「酒井宏樹」の名前が2度も選手の口から聞こえた。試合後の取材エリア。DF関根貴大とFW小泉佳穂は、それぞれ違う観点から酒井の存在の大きさを形容した。

 日本代表のドイツ遠征帯同のため不在となった酒井に代わり、関根は右サイドバック(SB)で先発した。「むちゃくちゃ難しい。宏樹くんはすごいなと思いました」と思わず本音が漏れた。起用を告げられのは試合の2日前で「練習はほぼしていない。ぶっつけ本番だった」。攻撃時はインサイドのポジションを取る“偽SB”の役割を担うプランだったが「うまく(ポジションの)ローテーションができず、ぎこちなかった。自分にボールも入らず、デビッド(モーベルグ)も窮屈そうだった。後半はスムーズにできた」と収穫と反省を口にした。

 サイドハーフからポジションを落とし、5バック布陣のウィングバックに可変することは何度もあるが、4バックのSBとなると「全然、世界が違う」とキッパリ。「最終ラインに入ってるので、自分がしぼり遅れた時点で失点してしまう。(相手に)食いついていいか、ダメなのか全然違った」。普段は自身の後方で堅く守備をしながら、アグレッシブに攻撃参加する酒井のすごさを痛感していた。

 一方、小泉が強調したのはチームに強い刺激を与える酒井のメンタルだ。「強いエネルギーを与えてくれるのが宏樹くん。今、彼がいない中、誰がそれをできるかが試されている」。神妙な表情で語り出した。

 8月25日のACL準決勝・全北戦。1―2の延長後半15分、右ふくらはぎの負傷を抱えた酒井が果敢なスライディングでボールを奪い、値千金の同点弾につなげた。特筆すべきは、並外れた勝利へのメンタリティー。小泉は「エネルギーがすごく大きい人。(酒井の言動で)嫌な雰囲気にならずにチームがピリっとする。そこに頼ってる部分はある。逆に、それで波が出てるのはチームとしてまだまだ。宏樹くんがいない時にどういうメンタリティーが出せるかが問われてるし、チームとして成長できるポイント。個人的にも、もっと強いメンタリティーを持って勝ちたい」

 7月2日のG大阪戦。前半で相手に終始圧倒され、0―1で迎えたハーフタイム。酒井は「どんなに悪い状況でも90分間で試合は終わる。その90分間だけは死ぬ気でやろうよ」とチームメートを一喝したことを、クラブ公式YouTubeで明かしていた。

 酒井によるチーム、個人に対しての助言や声かけは日常的に多い。MF大久保智明は言う。「どの試合でも喝を入れてくれる。『このままじゃ終われないぞ』『浦和は負けちゃいけないんだ』とか。90分間、勝利にかける思いは本当に強い。海外を経験してきた選手の言葉は重みが違う」。長年、海外や日本代表を経験してきた酒井がメンタル面でチーム全体に及ぼす影響は大きい。

 この日は開始2分で先制点を被弾。前半は攻め急ぐ場面も散見されるなど、停滞気味だった。ハーフタイム。酒井がいない中で同点、逆転に向けた強いエネルギーを生んだのは、活発な意見交換による考えの共有だった。「自然とみんなで話し合えた。けっこう難しい前半だったけど、ネガティブな要素や文句にならずに話せた。ポジティブなエネルギーをもって後半に臨めたのはよかった」と小泉。その言葉通り、後半8分に自身が貴重なアウェーゴールで同点に追いつき、スムーズなパスワークから好機を連発した。

 酒井不在で臨むルヴァン杯準決勝。小泉は「こういう時こそ僕や岩尾(憲)選手が試される。酒井選手なしでもチームを勝たせられるのかに懸かっている。良いモチベーションにして、自分自身に期待して頑張りたい」と強い気持ちをにじませた。25日のホーム・第2戦。得点が必ず必要なC大阪が前掛かりに攻めてくることが予想される中、昨年準決勝で敗れた宿敵にリベンジできるか―。浦和の真価が問われる。(浦和担当・星野 浩司)

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