「勝手にしやがれ」映画界”最後の巨匠”ゴダール監督が死去、「ヌーベルバーグ」刷新運動の中心的存在

スポーツ報知
亡くなった映画監督ジャンリュック・ゴダール氏(ロイター)

 「勝手にしやがれ」「気狂(きちが)いピエロ」などで知られるフランスの映画監督ジャンリュック・ゴダール氏が13日、スイス西部の自宅で死去した。91歳だった。仏紙リベラシオンによると、「自殺ほう助」により亡くなったという。フランソワ・トリュフォー監督(1984年死去、享年52)らと共にフランスの映画刷新運動「ヌーベルバーグ(新たな波)」の中心的存在として長年にわたり活躍した。

 ヌーベルバーグの旗手として世界中の映画人たちに影響を与え続け、“最後の巨匠”ともうたわれたゴダール監督が、91年にわたる生涯を閉じた。家族の声明によると「穏やかに亡くなった」という。マクロン大統領は「ゴダール氏は断固として新しく、強烈に自由な芸術を生み出した。私たちは天才のまなざしを失った」とツイッターに追悼の言葉を書き込んだ。

 監督としてのキャリアを短編映画からスタートさせたゴダール監督は、昨年9月に死去した仏俳優ジャンポール・ベルモンドさんを主演にした60年公開の長編デビュー作「勝手にしやがれ」で、いきなりその名を世界に知らしめた。街頭での即興撮影、唐突なショットのつなぎ、「最低だ」と言ってあっけなく死ぬ主人公。それまでの映画文法を破壊する新たな手法は映画ファンに当惑と興奮をもたらし、映画界に革命を巻き起こした。

 多彩な作品の背景には、ミューズ(女神)として「女は女である」「気狂い―」などに出演した女優アンナ・カリーナさん(2019年死去、享年72)への絶対的な愛があった。ゴダール監督は「カップルはいつも映画の中心テーマだ」と語っていた。

 だがその愛は破局を迎え、関心は政治へと向かう。68年の反体制運動「五月革命」以降は一時、政治映画に傾倒。70年代にはビデオを使った実験的映画に取り組んだ。80年公開の「勝手に逃げろ/人生」で商業映画に復帰。83年「カルメンという名の女」でベネチア国際映画祭の金獅子賞(グランプリ)を受賞した。

 日本の監督では、故溝口健二監督の作品を愛し、98年に完成した大作「ゴダールの映画史」で故大島渚監督らの作品と共に取り上げた。02年の初の来日会見には、ぼさぼさ頭に黒縁眼鏡、手には太い葉巻というおなじみの格好で登場。偏屈者、気まぐれ者といったイメージで語られがちだが「私は少し反逆的な人間なのです」と言って笑わせた。

 世界映画の名作や絵画、音楽、哲学など膨大な引用の奔流を「映画史」としてまとめたように、「映画とは何か」を探究し、生涯を映画の革新にささげた。ヌーベルバーグを生んだのではなく、ゴダール監督こそがヌーベルバーグそのものだった。

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