NHK総合「ニッポン知らなかった選手権 実況中!」は誇り高き職人同士の「道場マッチ」…熱さの秘密に迫る

スポーツ報知
13日放映の舞台は「第一回 全日本ふぐ調理技術大会」。職人達の超絶ワザに迫っていく

 NHK総合で放映中の「ニッポン知らなかった選手権 実況中!」(毎週火曜日・午後11時)が熱い。企業や業界団体などが主催し、主に技術向上のために内輪で行われるスキルアップコンクール・コンテストへとカメラが潜入。プロレス実況の第一人者・フリーアナの清野茂樹氏が巧みな言葉で職人芸を描写し、勝負論を際立たせていく。名もなき技術者同士の熱き闘いが、なぜここまで見る者の心を揺さぶるのか。清野アナと尾関憲一チーフプロデューサーに聞いた。(加藤弘士)

 「第2回キーボード選手権 生字幕入力コンテスト」「全日本打掛け花嫁着付けコンテスト」、そして13日に放映されるのは「第1回全日本ふぐ調理技術大会」-。一般に公開されることのなかった、まさに「知らなかった」世界にカメラが潜入し、職人たちの「ワザ」を清野アナが勝手に高速実況していく。プロレスファンから圧倒的な支持を得ている清野アナは、並々ならぬ決意でこの番組に臨んでいる。

 清野「テレビにおける、自分の代表作にするつもりでやっています。ほしかったんですよ、代表作がずっと。ラジオに関しては10年以上やっている『真夜中のハーリー&レイス』(ラジオ日本)がありますので。お話をいただいた時に、『清野さんといえば、あの番組』と言われるようにしたいと思ったんです」

 縦横無尽、変幻自在にユーモアを用いて実況するのが清野アナの持ち味。起用のきっかけはどういったものだったのか。

 尾関「5、6年前にプロレスのトークイベントに行ったんです。そこで清野さんを初めて見て。夢枕漠さん、神田松之丞(現・伯山)さん、大槻ケンヂさんと出演していたんですが、これは面白いと思って。NHKにも過去、そんなに出ているわけじゃないので、番組的に新鮮さも出せると思いました。冒険といえば冒険ですが、ただ普通のナレーションをつけても面白くないですから」

 清野「台本はあるんですが、『自由に変えていいよ』と言われているので、なるべくアドリブを入れようと思ってやっています。それが自分の味になる。いかに台本にないことを言うかに頭を悩ませています(笑)。登場人物には有名な方が一人もいない。だから実況でキャラクターをしっかりつけてあげようと思って。この人はどんな特徴があるのか、キャッチフレーズをつけたりと、準備をして臨むようにしていますね」

 扱う題材はユニーク。そんなコンテストがあったのかと毎回驚かされる。

 尾関「ディレクター、リサーチャーも含めて、街を歩きながらいつもネタを探しています。ネット上で検索して、普通に出ている大会だけじゃ面白くない。大会自体って、そもそも公開を前提にしていないんですね。本当に競うことでスキルアップしていこうという、内輪の大会なので。でもそこを公開する意味も面白いなと思って。『人知れず、熱い世界がココにある』というのを見せて、スポーツみたいに実況したら、すごく盛り上がるんじゃないかというコンセプトもありまして。すごいネタの宝庫なんですよ」

 技術者同士のプライドをかけたワザの対決。ここに「清野節」が加わると、対立概念が際立ち、自然とバトル感が醸成されていく。

 清野「冒頭で『プロレス実況のトップランナーです』と言わせてもらっているから、遠慮なくプロレス色を出しています。『本来見せるべき大会ではない大会』って、プロレスに例えると道場マッチ。見せることを意識してやっている大会と、見せないことを前提にやっている大会は違う。道場の試合を実況しているような、その興奮もありますよね」

 尾関「そういう『見せない前提』ゆえのリアルさはあるんじゃないかと思っています」

 まさに「神様」カール・ゴッチや、「テロリスト」に転じる以前の藤原喜明を見るような、ゴツゴツした闘いの原風景。そのリアルを尋常ならざる台数のカメラが追う。

 尾関「だいたい30~60台ぐらいのカメラを出しています。固定カメラや無人カメラも含めてですけど。普通こういう番組って、取材して事前に『誰と誰のドラマを追いかけていこう』と撮るんですけど、この番組は誰が勝つか本当に分からない。全部撮っておかないと、編集ができないんです。そういった部分も、リアルなのかもしれませんね」

 私が毎回30分の激闘を見た後、職人たちに対する敬意とともに立ち上ってくる思いは、「名もなき市井の人々がこのような技術を携えて日々を送るニッポンという国は、まだまだ捨てたものじゃない」というものだ。

 尾関「何かのためにやっているのではなく、仕事の熱意のためだけにやっているところが、ミソだと思うんですよね。そういう技術の根底を支える『誇り』みたいなものが、伝わっていくといいなと思っています。僕らはそれを押しつけるような演出では作りたくない。じんわりと感じてもらえるようになれば」

 清野「こういう番組をやることで、その職業を目指す人が増えたらうれしいですよね。従事する人が少なくなっている職業もあるんです。若い人が見て『こんな仕事があるんだ。目指してみよう』と思ってもらえたら最高です」

 ネット上には無数の動画がアップされている昨今ではあるが、この番組で放映される数々のシーンには、それこそテレビマンたちの誇りにも似た「巧の技」が凝縮されている。

 尾関「現場で働く仕事人の熱意だけで成り立ち、そこに清野さんが声をつけてくれている。今のバラエティー番組にはない、シンプルなものです。業界団体の大会そのものの面白さ、素材の面白さを味わってもらえたら、テレビ本来の面白さが伝わるんじゃないかと思っています」

 清野「誰でも動画を作れる時代に、この番組はテレビ局にしかできないことを追求している気がします。非公開の所に入っていき、60台のカメラで追うのはユーチューバーにはできない。ネット上には転がっていない、NHKだからこそできる番組を、ぜひ見て頂きたいですね」

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