◆JERAセ・リーグ 巨人1―3中日=延長10回=(9日・東京ドーム)
エリザベス女王が旅立った。君主としての在位期間はフランスのルイ14世に次ぐという。いや、待ってくれ。ルイ14世だよ。「朕(ちん)は国家なり」だよ。もはや世界史の教科書じゃないか。
比較対象のスケールが違う。願わくは女王に300年前の記録を上書きしてほしかったけど、そういう問題じゃないな。
人類のエベレスト初登頂はイギリス隊によって成し遂げられたが、これが戴冠式直前の出来事。何ともドラマチックな生涯です。
今年は球界でも歴史の節目を感じさせる出来事が多い。ベーブ・ルース以来104年ぶりに「2ケタ勝利&2ケタ本塁打」を記録した大谷は言わずもがな。
60年以上も破られていないロジャー・マリスのヤンキース&ア・リーグ最多本塁打記録(61本)超えを狙うジャッジもそうだ。
日本でも村上が偉業に絶賛挑戦中。王さんの55号は完全に射程圏にとらえ、バレンティンのプロ野球記録も見えてきた。
佐々木朗希の完全試合やノーヒットノーランの達成者が史上最多タイの5人という快挙も特別なシーズンを感じさせますね。
そんなわけでイキそうでイケない。巨人です。DeNAに連勝。それも記録的猛打あり、4点差逆転ありと波に乗れそうな雰囲気は漂っていたのに。
やっぱり9回か。丸がマルから同点弾。さらに中田が続いてくれた。一塁代走は増田大。サヨナラのお膳立てはそろっていた。ここで一気に決めなきゃウソでしょう。
中日バッテリーはカウント0―2から強気の3球勝負。なめんなよ。こっちは我らが前4番にして次期4番。155キロのストレートは左中間スタンドへ豪快にたたき込まれる…はずだったのだが。
ただ、暫定エースの意地は見せてもらった。7回130球の力投。12勝目ならずの戸郷です。この男も大谷や村上ほどではないけれど、歴史の扉をこじ開けようとしている。
球団史上最年少、22歳での最多勝タイトル。1969年の高橋一三さんの23歳を更新できるのか。状況は厳しくなったが、達成できればチームのCS進出もついてくるはず。それにしても岡本さん!