夏の甲子園 仙台育英の優勝で悲願の「白河の関越え」達成 地元少年らに与えた感動

スポーツ報知
優勝の瞬間、喜びを分かち合う多くの白河市民ら(カメラ・坂口 愛澄)

 全国高校野球選手権大会で仙台育英(宮城)が優勝し、全国的に注目を浴びている福島・白河市の「白河関跡」。JR新白河駅から車で約20分のところに位置し、決勝戦の8月22日は、約50人の老若男女がパブリックビューイング(PV)での応援に駆けつけた。

 地元の子どもたちは仙台育英の攻撃になると、立ち上がって、育英タオルを回し、メガホンをたたきながら「絶対打って~」と声援を送るなど大はしゃぎ。4―1の7回1死満塁、仙台育英・岩崎生弥一塁手(3年)が左翼席へ満塁弾を放った際には、うれしさのあまり絶叫する子どももいた。

 7点リードの優勢のまま迎えた9回2死。下関国際の最後の打者を打ち取ると、地元住民らは家族と抱き合い、喜びを大いに分かちあった。記者が歓喜の瞬間の写真を撮影し、ふと観客席の2列目に視線を移すと、一人の少年が目に涙をいっぱいにため、じーっと中継画面を見つめていた。

 優勝の喜びに友人と浸っていた少年の祖父が、席に戻り「よかったな~」と少年に声をかけると、今までこらえていた涙があふれ出し、祖父の胸で号泣した。少年が落ち着いてから話しを聞くと、泣いていた11歳の少年は、市内でサッカー教室に通っていて、甲子園の決勝は生まれて初めて見たという。

 「まさか勝てるとは思ってなかったから、うれしくてびっくりして泣いてしまいました」。涙を拭い、試合を振り返りながら「満塁ホームランがいっちばんすごかった。本当に優勝出来るなんてすごい…」と言葉を絞り出していた。

 また、9歳の野球少年も優勝が決まると、友人とハイタッチして画面に向かって拍手を送り続けた。「甲子園ってすごい場所なんだなって思いました。僕もお兄ちゃんたちみたいに、もっと野球を頑張りたい」と額の汗を拭いながら、笑顔を見せた。

 地元の子どもたちにとっても、東北勢悲願の初優勝を見届けたことは、夏休みの最高の思い出になったのではないだろうか。子どもたちが夢中になっているスポーツが、野球であってもそうでなくても、育英ナインの雄姿は、何年たっても記憶に残るに違いない。

(記者コラム・坂口愛澄)

 ◇白河の関 奈良時代から平安時代まで、現在の東北地方の大半を占める陸奥国と中央の国境にあり、蝦夷(えみし)の南下を防ぐとりでとして機能した。和歌、俳句の名所としても有名で、西行、松尾芭蕉らが訪れた。東北勢はこれまで春夏通算12度決勝に進出していたが、仙台育英が優勝するまでは準優勝が最高成績だったため、東北勢の優勝を願い「白河の関越え」と呼ばれるようになった。

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