【番記者の視点】原点に立ち返った横浜FM 今季負けなしのホームで湘南下し首位返り咲き

スポーツ報知
後半25分、PKを決めたアンデルソンロペス(左)を祝福する横浜M・西村拓真(右はマテウス)

◆明治安田生命J1リーグ▽第25節 横浜FM3―0(7日、日産ス)

 横浜FMはホームで湘南に3―0と勝利。リーグ3試合ぶりの白星で、広島をかわして首位の座を奪い返した。

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 アグレッシブさ全開の、気迫みなぎる90分間だった。鋭い出足で2、3人が湘南のボール保持者を囲み、激しいプレスで奪いきるシーンは何度も見られた。ボールを保持し、動かし、ゴールを目指し、運動量でも相手を圧倒。”らしい”サッカーで内容結果ともにつかんだ。マスカット監督は「素晴らしい夜になった。この天候の中でも最後の最後まで自分たちのやろうとしていたサッカーを表現してくれた」とたたえた。

 守りを固める相手に対し、前半は好機を作りながらもゴールが決まらず。焦りから、勝利を逃した試合は過去にもあった。だが指揮官が「自分たちをどれだけ信じることができるかが大切」と語るように、じれなかった。後半11分、相手のミスを逃さずFWアンデルソンロペスが敵陣で奪ったボールにMF西村拓真が抜け出し、冷静に1対1を沈めた。流れを引き寄せた貴重な先制点。その後ロペスもPKで5月18日の浦和戦以来となるゴール。終盤には今夏加入したFWヤンマテウスが左足ミドルを突き刺し、最高のデビュー戦を飾った。

 8月は公式戦4連敗と苦しんだ。気落ちする雰囲気がチームに流れたこともあった。前節・FC東京戦は2点差を追いつかれてのドロー。それでも、チームとして方向性がぶれることはなかった。敗れた試合後の選手は迷いや不安を口にすることなく「やり続けるしかない」「例え失点したとしてもそれ以上取り返せばいい」。立ち返る”原点”があった。

 選手にとって、明確な指標があることほど心強いことはない。指揮官はそのサッカーを信じる重要性を伝え続け、選手はクラブの象徴であるアタッキングフットボールを貫くことのみに集中した。DF小池龍太も「同じ絵を描くことができていた。この勝ちでチームは勢いづくと思う」と一人一人がやるべきことを遂行した結果だと強調。「同じ絵」を目指し、4試合ぶりの先発出場となったMF渡辺皓太は中盤でチャンスの起点となり続けた。

 5月末から首位を快走したチームは先月末に首位の座を譲った。しかし岩田は「周りのことは気にしない」と意に介さず。それでも7月30日の鹿島戦以来となる勝利に「やっと勝てた。0で抑えられたのはうれしい」と安どの表情を見せた。言葉以上に実感のこもったチーム全体の本音だろう。自信を取り戻す意味でも、ただの勝ち点3ではない。DFエドゥアルドとのセンターバックコンビにも「精神面や高さの部分で信頼しているし、逆に自分はラインコントロールができて、いい関係性を築けている」と手応え。公式戦6試合ぶりの完封勝利を達成した。

 今試合は中3日の前節から先発変更が3人のみ。DFラインは4人全員同じメンバーで挑んだ。シーズン序盤からメンバーを入れ替えて過密日程に臨んできたが、リーグ戦1本に絞られた今、指揮官の考える現状のベストメンバーも見え始めてきたように思う。だからと言って、全員が目の前の試合に全力を注ぐことは変わらない。外国籍選手はFWヤンマテウスの加入により6人となり、登録の都合上、一人は毎試合ベンチに入れない状況となった。強いチームには常に高い競争が存在する。激しさを増すメンバー争いが相乗効果を生むことに期待は高まる。

 強い雨が降り注ぐ中、90分間力強い声援を送ったサポーターの存在も、息を吹き返す原動力になったはずだ。日産スタジアムでは脅威の9連勝。シーズン終盤にかけて、残る8試合のうち5試合を日産スタジアムで戦う利点は大きい。ぶれることのない姿勢、一体となって勝利に向かうチームの底力を改めて感じた湘南戦だった。(小口 瑞乃)

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