【番記者の視点】ロングボールでもパスサッカーでもない 今の神戸にもっとも必要なのは…

スポーツ報知
ヴィッセル神戸

◆第102回天皇杯全日本選手権 ▽準々決勝 鹿島 1―0 神戸(7日・ノエビアスタジアム神戸)

 神戸は鹿島に0―1で敗れ、公式戦3連敗。今シーズンの無冠が確定し、クラブは現在17位とJ2自動降格圏に沈むリーグ戦で残留を目指すのみとなった。

 試合開始から15分近くが経過して、自分のノートに両チームのフォーメーション以外何もメモしていなかったことに気付いた。普段、試合取材の際はチャンスになったシーンや印象的なプレーを書き留めるようにしているが、前半のなかでペンを走らせたのはわずか数回。そのうちの1つが前半33分、敵陣ゴール前で相手の横パスを奪ったFW藤本憲明がフリーでミドルを放ったが枠を捉えられなかった場面で、チームの前半のシュート数はこの1本のみだった。

 試合に出ているメンバーの特徴を生かそうと、たびたび攻撃の形を変えてきた神戸。夏場になって従来のパスサッカーからFW大迫勇也へのロングボールを主体としたパターンで調子を上げてきたように見えたが、エースの負傷離脱で再構築する必要に迫られた結果、3日のリーグ戦・京都戦から再びパスをつないでいく意識が強くなったように感じた。

 吉田孝行監督はこの日の試合後、「しっかりボールを持つという戦術的な部分で、ボールを持ちながら前進していくというところにおいては、シュートはそこまで多くはなかったのですが、そういう意味では上手くいったと思います」と振り返り、多くの選手も「前半は自分たちのやりたいことができた」と口をそろえた。現状のメンバーで可能な戦い方を模索することに異論はないが、ボール保持で相手を上回った結果が計シュート4本ではあまりにも寂しい。何よりも結果が求められている今ならなおさらだ。

 ロングボールが正解、というわけではないが、それがはまっていた8月のリーグ戦・札幌戦やアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝・横浜FM戦では、選手たちの表情から追い詰められた必死さが伝わってきた。シンプルな戦術が機能したこと以上に、なり振り構わずに目先の勝利にこだわった姿勢が流れを引き寄せたのではないかと思っている。

 その意味で、直近の2試合はどうだったのか。懸命にプレーしているはずの選手たちからは、そうした気迫は自分には見えてこなかった。「戦う気持ち」はピッチに立つ誰もが当たり前に備えているものだと認識しているが、ボールを握ってもゴールまでたどり着けない攻撃や、肝心なところで甘さが出た守備を目にすると、いやが応でも精神論の重みが身にしみてしまう。

 大迫や元スペイン代表MFイニエスタら負傷者が戻れば今の戦い方も変わるだろう。ただ、今のチームにもっとも必要なのは優れたプランではないと感じている。指揮官は以前の取材で「結局、サッカーって戦術も大事なんですけど、どれだけ皆で必死になってできるか。その気持ちをどれだけ出せるか。そこにプラスして戦術が出てくる」と話していた。中2日で迎えるリーグ戦・名古屋戦(10日・ノエスタ)で、その言葉を体現した戦いを見せてほしい。(種村 亮)

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