フィギュアスケート女子で18年平昌五輪4位の宮原知子さん(24)が、現役選手と本音で語り合う「知子のRink.Linkトーク」は第3回目を迎え、初めての男子選手となる島田高志郎(21)=木下グループ=が登場。2回に分けて掲載し、第1弾の「上」では、島田の今季にかける思い、そして男子フィギュア界について語った。(取材・構成=小林玲花、大谷翔太、取材日2022年8月17日)
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―島田を「小さい頃から知る」という宮原さん。何をきっかけに会話する仲になった?
島田「それ、いまだに謎なんだよな~(笑い)」
宮原さん「一緒に試合に出たのが、多分2014年のガルデナスプリングトロフィー?」
島田「ガルデナだ(笑い)。知子ちゃんがジュニアからシニアのカテゴリーに参加したのかな?」
宮原さん「そうやったと思う」
島田「僕がノービスでした」
宮原さん「そこですごいしゃべるというか、仲良くなったのはいまだに謎で(笑い)。いつからすごい近くなったかって言われると難しいかな」
島田「いつの間にかです」
―宮原さんは長年、日本のスケート界を引っ張ってきた存在。島田にとってはどんなスケーターだった?
島田「知子ちゃんを初めて知ったのは、コーチ伝いで。『宮原知子ちゃんっていうのがすっごい練習するんだよ』っていう。『何回も曲かけをして、できるまでやるんだよ』みたいなうわさから僕は初めて知子ちゃんのことを知って。そこから初めてお会いして、すごい真面目そうな、最初の印象はもう本当に、お互いシャイな(笑い)。ちょっと緊張しながら話していたと思うんですけど、もうスケーターとしては、ただの一ファンでした。素晴らしい表現やスケート技術っていうものが、どんどん見るたびに洗練されていっているのを同じフィギュアスケーターとして、ずっと追っていたので。こうやってまた、プロスケーターとして新たに歩み始めている知子ちゃんを見れてすごくうれしいなって思います」
―一方、宮原さんから見る島田高志郎というスケーターは?
宮原さん「4回転とかすごいレベルが上がってきている中で、ジャンプだけじゃなくて、スケーティングや表現っていうところで、なんかもう1度見たいなって思うようなプログラムができる選手だと思うので、すごく毎年楽しみにしてます」
―島田は今季、グランプリ(GP)シリーズ第4戦(11月11~13日・英シェフィールド)に出場。2019年以来のGP参戦となる。
島田「イギリスに行くのは初めて。思いもよらないGPへの招待だったので、みなさまの前で演技させていただく機会が1回でも多く増えたことにすごく喜びを感じています。自分のスケートを少しでも多くの方に見ていただける機会がGPだと思うので、そこで少しでもいい演技ができるように、まずは練習から頑張っていきたいなと思います」
宮原「私もイギリスは行ったことがないです」
島田「イギリスはなかなか行かないんだよなあ」
宮原「本場のイギリス英語が聞ける!」
島田「なんとかを『ルン』っていうね(笑い)」
宮原「(笑い)」
―北京五輪でメダルを獲得した宇野昌磨、鍵山優真らを中心に、次世代の選手がメキメキ成長中の日本男子フィギュア界。これから26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向け、レベルの高い戦いが始まる。
島田「羽生選手がプロスケーターとしての道を歩むという発表がありましたけど、今までの日本男子のレベルアップの秘訣というか、ずっと導いてくださっていたのは、羽生くんがトップとして居続けていてくださったおかげだと思います。羽生くんがプロスケーターに転向して、これからまた宇野昌磨くん、鍵山優真くんを筆頭に、もうひと枠のところを勝ち取る戦いになっていくと思うので、更に厳しい戦いになると思いますし、羽生くんを競技会で見られないっていう悲しさもあると思うんですけど、その下にもさらにいいスケーターがどんどん日本から出てくると思うので、ぜひ注目していただきたいなと思います」
宮原さん「日本男子は、選手それぞれの個性があって、それぞれ面白いスケートをするなあっていう印象があります。もちろん誰が代表になるかっていうところはすごい厳しい戦いになると思うんですけど、スケーターのそれぞれの特徴というか、面白さっていうか、そういうところを消さずに、そこをもっとアピールして自分の良さを見せて欲しいなって思います」
◆宮原 知子(みやはら・さとこ)1998年3月26日、京都府出身。24歳。関大卒。2011、12年全日本ジュニア優勝。15年世界選手権銀メダル。15、16年GPファイナル2位。16年2月の四大陸選手権で国際主要大会初優勝。全日本選手権は14~17年で4連覇。18年平昌五輪4位。21―22年シーズンを最後に現役引退。