秋季高校野球県大会が10日、草薙球場などで開幕する。37チームで争われ、上位3チームに東海大会出場権が与えられる。昨秋、中部地区予選途中でコロナ禍に見舞われて出場辞退となった駿河総合は2年ぶりに秋の県大会へカムバック。1年夏から正捕手を務め、前チームから4番を務める石川昊(こう、2年)を軸に、13年の創部以来初となる東海切符を目指す。初戦は11日、2回戦で富士市立と対戦する。
プロ注目左腕の原崎翔陽ら3年生が抜けた駿河総合の新たなキーマンが、正捕手の石川だ。兄の隼さんが4番を張っていた昨夏にはすでにレギュラーに定着。マスクをかぶった2度の夏は島田商、浜松工と強豪に当たりいずれも2回戦で涙をのんだ。「(1年から出場し)人の2、3倍悔しい思いをしてきた。それを秋にぶつけて絶対東海に出たい」と決意を明かした。
180センチ、81キロの体格で遠投100キロ超、通算8本塁打と強肩強打が光る。「自分が中心となって、打点を挙げるのが仕事」と言葉通り、秋の地区予選はここまで3戦でしぶとく4打点。望月俊治監督(56)も「状況に応じたチームバッティングができるようになってきた」と信頼する。
前チームでは左右の二枚看板だった原崎兄弟に頼ってきたが、新チームでは絶対的といえる存在はまだいない。「リードがより重要になる。去年以上に頭を使って的を絞らせないようにしないといけない」。甲子園やOBの紅林が在籍するオリックスを中心としたプロ野球の中継を見るのが日課。「打者はどういう球、どういうコースを嫌がるのか分析する」ことを自らに課し、研究は怠らない。
2年生の捕手では常葉大菊川・鈴木叶が早くもプロ注目と言われクローズアップされている。「尊敬していますし、同時に負けたくない気持ちもある。自分も注目されるように頑張っていきたい」。共に勝ち上がれば、常葉大菊川とは東海切符が懸かる準決勝で対戦。“県ナンバーワン捕手”の座は譲れない。
(武藤 瑞基)
〇…駿河総合の新チームは夏、浜松工に敗れた翌日からオフなしで始動した。練習試合では春の東海王者・浜松開誠館や甲府城西(山梨)など実力校を撃破し、地区予選の上位決定戦では今夏県準優勝の静清にも3―2で競り勝った。望月監督も「思いの外良かったね」とニヤリ。秋山大輝主将(2年)は「投手が課題と言われていたが、エースの佐藤も順調。(好成績を)自信につなげたい」とうなずいた。