J2ベガルタ仙台の伊藤彰新監督(49)が7日、オンラインで就任会見を行い、1年でのJ1復帰を誓った。6日に原崎政人前監督(48)の解任と伊藤監督の就任が発表された。仙台市・泉サッカー場で行われた練習に初合流した新指揮官は残暑の中約2時間、選手たちに身振り手振りを交えて、熱く指導した。次節は10日、大分と敵地(昭和電ド)で対戦する。
4連敗で4位に停滞するチームに新たな風が吹き込んだ。リーグ戦も残り8試合でJ2自動昇格圏内の2位とは勝ち点10差と厳しい現実も、伊藤新監督が持ち前の熱さで選手を指導。初合流となったこの日には最初のあいさつからジェスチャーを交え「クラブ、スタッフ、選手とチーム全体で同じ方向を向いて必ずJ1を勝ち取ろう」と共通認識を改めて持ち、一致団結した。
練習途中では大声を張り上げ事細かに動きを指示。休憩時間にも選手たちと積極的にコミュニケーションを取るなどチーム再建に積極性を見せた。戦術面の引き出しを多く持つ指揮官はピッチ中央で約20分間、ホワイトボードにみっちりと書かれた作戦を説明。その後にフルコートの紅白戦を10分×4本行い、個々の能力や特長を見極めた。「しっかりと伝えたことをイメージしながらやってくれた。まずはやってみようという姿勢も見えましたし、いいプレーをしてくれ、いい一日だった」と好感触だ。
オンライン会見で改めて就任の経緯を話した監督。J1磐田を解任されたのが、8月14日。仙台からは5日に打診があったことを口にし、「昇格に向けてどう戦っていくか、その先にあるクラブがどういう風にチームを大きく構築していくという未来のところの熱い気持ちに共感できたことがいっぱいありました」と明かし就任を即決した。
就任から4日で勝ち点3差の6位・大分と上位対決が待っている。初采配で昇格にかかわる負けられない相手に「ボールを握るのが得意なチーム。しっかりと点を取れる選手たちがいる」と警戒。「高い位置でプレッシャーをかけられるような状況をつくるのが重要」と強気な守りで主導権を握る姿勢だ。攻守に精彩を欠き自信をなくしつつあるチームには「ここ4試合では先に点が取れていない。最初の15分、20分を前に前にとアグレッシブに戦うことを意識していきたい」と序盤から攻撃的なサッカーで流れをつかみ、勝利を狙う。(山崎 賢人)
◆伊藤新監督に聞く
―ベガルタ仙台のイメージは?
「現役時代アウェーでユアスタに来ていましたけどすごく熱狂的なファンがいるチーム。ファン、サポーターの後押しは今回絶対に必要になってくると思いますし、素晴らしいサポーターたちと戦えることに喜びを感じています」
―現在のチーム状況や戦力のイメージは?
「元々力があるチームで、個人的にも能力が高い選手もいっぱいいる。そのなかで勝ち星が自分たちのところに転がり込んでないだけ。自信をもって思い切って勝負することが重要になってくる。アグレッシブにやる気持ちが次の試合でも大事」
―伊藤監督がやりたいサッカーは?
「ボールを大切に持ちながら前に進めること。ポジションをしっかり取りながら相手の嫌なところに立ち位置を取って、起点をつくりながら守備のラインを突破していく。サイドのところにコンセプトをもって崩しの状況をつくれれば良いチームになってくる。切り替えが早く、より攻撃的にできるようなチームを目指していきたい」