【巨人】両軍ベンチの駆け引きの行方 完封リレーのカギとなった鍵谷陽平のワンポイント起用

スポーツ報知
巨人・鍵谷陽平

 継投の奥深さを思い知らされた。4日の阪神戦(甲子園)。7回に中田の17号決勝2ランが飛び出し、そのまま2―0で勝利した。阪神先発・西純の攻略に手こずり、このアーチがチーム2本目の安打という状況も考えれば、勝つためにはこのリードを守り切るしかなかった。その中で最大のカギとなったのは、8回の鍵谷のワンポイント起用だったと見ている。

 2点リードで迎えた8回、阪神の打順は9番・坂本から。当然、代打も十分に考えられるケースだった。1番から4番まで中野、糸原、近本、佐藤輝と手ごわい左打者が並ぶ上位打線を前に、絶対に先頭打者を出塁させるわけにはいかない状況。マウンドに上がったのは鍵谷だった。阪神の代打は、右対左のセオリーにならって島田。二ゴロに打ち取って中野を迎えた所で、原監督は鍵谷から高梨へとスイッチした。高梨も中野、糸原をきっちりと仕留め、2人の投手で1イニングを完全に封じた。この場面での鍵谷の起用を、原監督はこう振り返った。

 「相手が考えればいいと思った。でも、基本、坂本という右バッターからスタートするわけだから、カギに行かせる。ただ1番からは(高梨)。そしたら向こうが左打者(の島田)を出してきた。オッケー、いいじゃないか。それでカギが頑張ってくれたね」

 この時、阪神のベンチにはマルテ、原口と打力のある右打者が控えていた。回の頭から高梨を送っていたら、おそらく代打はその中の誰かだったのではないか。対左打者は被打率1割6分9厘のキラーぶりを誇る高梨ではあるが、右打者には同2割3分3厘とやや上がる。それならば―。

 セオリー通りの左打者か、右対右となっても強打者が出てくるか。両面で対応する策として、この試合前まで8月以降は7戦で防御率0・00と安定感が戻ってきた鍵谷に、絶対に取りたいワンアウトを託したのだ。ベンチの思惑に応えた鍵谷、高梨の果たした仕事はとてつもなく大きな物となった。

 さらに言えば、原監督にはもう1つの狙いがあった。「左は、彼(島田)だけだったから。その打者を打ち取れた。あとはもう右しかいない」。厳密に言えば、島田の代打後の阪神のベンチには両打ちの植田がいたが、代走の切り札としてここぞの場面まで取っておきたい存在。出てくる代打は右ばかりとなり、仮に試合が続いた場合の継投の計算も立てやすくなる。そんな思惑もあったという。ならば、マルテ、原口の出番を与えなかったことも、きっと頭には描いていたはずだ。

 巨人にとって8回は、イニング別最多となる70失点を喫するなど、鬼門の回となっている。そこを乗り越えるための両軍ベンチの駆け引きも、この試合の妙味となった。

(巨人担当キャップ・西村 茂展)

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