フィギュアスケート女子で18年平昌五輪4位の宮原知子さん(24)が、現役選手と本音で語り合う「知子のRink.Linkトーク」は第2回目を迎え、22年北京五輪団体銅メダリストの樋口新葉(21)=明大=が登場。それぞれのスケートに対する思い、またお互いの素顔までを2回に分けて深掘りする。第2弾の「下」では、2人が経験した“五輪”という舞台についてじっくり語り合う。(取材・構成=小林玲花、大谷翔太、取材日2022年8月15日)
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―宮原さんは18年平昌五輪、樋口は22年北京五輪に出場。お互いの五輪での滑りを見て感じたことは?
宮原さん「見ていて、『ほんとに楽しそうやな』っていうのと、五輪に出られているうれしさっていうのが伝わってきました。やっぱり自分が平昌五輪に出た身として思ったのは、五輪の楽しさとか、出られることのうれしさとかを感じているんだなと思って、こっちもうれしくなりました」
樋口「私はリアルタイムで平昌五輪を見ていなかったんですけど、その後、結構時間も経って平昌五輪の演技を見れるようになって。そこからは何回か見ました。五輪シーズンは結構メンタル的にも大変だったところがあるんだろうなって思いながら、でも五輪であれだけの演技をして、ほんとに自分が心から楽しんでるっていうのが伝わってくる演技を見てたので、それはすごく自分もうれしかったし、自分も『五輪に出たいな』って思えるきっかけの一つになったので、すごくいいなって思いながら見ていました」
―樋口は五輪の女子ショートプログラムで、史上5人目となるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)成功者となった。
宮原さん「何となく降りると予想していたので、降りてくれてうれしかったです。こんな言い方していいのか分からないですけど(笑い)。でも、何となく『降りるやろな~』と思って、応援していました」
―樋口の本番への強さを以前から感じてた?
宮原さん「もちろんどの選手にもアップダウンはあると思うんですけど、新葉ちゃんは、『ここ!』って時にすごいパワーを出すイメージがあるので。五輪も変に緊張せずに、うれしさとか、ワクワクっていうんですかね。そのまま思い切って行ってくれたらなと思っていて、『いけそうやな』って勝手に思っていました」
樋口「いやでも、そんなことないんだよなあ。めっちゃ大変だった(笑い)」
宮原さん「いや、分かるけど(笑い)。でも、全日本に向かうときの気持ちとは、やっぱ違うっていうか。自分の場合は、全日本よりも五輪の方がのびのび滑ることができたし、自分でつかみ取った出場権で行った五輪やから。もちろん緊張とかするけど、でもなんか(樋口も)いけると思っていました(笑い)」
―北京五輪を終えた樋口は、「またここで滑りたい」と思いを強くした。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ大会へと続く、これからの道のりへの決意を語った。
樋口「4年後も『また出られたらいいな』って思いながら、『今、こういうことがしたい』『こういう表現がしたい』とか、そういうところを考えて。その先に、もしかしたら五輪に出れるっていうことがまたあるかもしれないし、ないかもしれないし、それは分からないですけど、毎シーズン後悔のないようなスケートができたらいいなと思います」
―最後は長年、日本女子スケート界をけん引してきた宮原さんから、樋口へエールを送った。
宮原さん「ただただ『頑張って』とは言えないというか。競技をずっとしていく中で、1シーズン1シーズンが大事で、その時その時の目標があると思うので。新葉ちゃんが言っていたように、やっぱり自分のスケートと向き合いながら、あんまり自分を責めすぎずに、自分のペースで頑張ってほしいなって思います」
◆宮原 知子(みやはら・さとこ)1998年3月26日、京都府出身。24歳。関大卒。2011、12年全日本ジュニア優勝。15年世界選手権銀メダル。15、16年GPファイナル2位。16年2月の四大陸選手権で国際主要大会初優勝。全日本選手権は14~17年で4連覇。18年平昌五輪4位。21―22年シーズンを最後に現役引退。