【女子野球】男女変わらない、いつまでも野球したい気持ち…増えつつある「草野球」チーム

スポーツ報知
好プレーに笑顔をみせる、ゆにわナイン(カメラ・軍司 敦史)

 女子硬式野球のクラブチーム日本一を決める第17回全日本女子硬式クラブ野球選手権大会(報知新聞社など後援)が8月下旬に千葉県で行われ、阪神の女子チーム・阪神タイガースWomenが初優勝した。全国から集まった、さまざまな環境でプレーする33チームからは、女子野球の現状や課題が見えてくる。第2回は、女子たちもしたかった「草野球」(軍司 敦史)

 今大会は今年から、10月の全日本選手権(松山)出場権がかかることになり出場チーム枠が増え、33と最多となった。強豪はもちろんだが、1、2回戦では見慣れないチームも多数登場した。全国大会で無名チームが出てくるというのは、まだまだ女子野球全体の規模が小さいということだが、そこは経験者だけにみんな結構うまい。しかもとにかく楽しそうだ。

◆強豪大OGチーム・ゆにわ

 初日に登場した、ゆにわ(宮城)は、数々の日本代表や元女子プロ野球選手を輩出した強豪・平成国際大(埼玉)のOGを中心としたチーム。大学を卒業した後もクラブチームで続ける選手もいるが、多くは男子と同じで仕事との両立が出来ずに辞めていく。ゆにわは同大の濱本光治監督の発案で、卒業後数年のOGら13人が1か月ほど前から現役部員と一緒に練習、この大会に臨んだ。「ゆにわ」とは、命名した濱本監督によると、野球の神様のことだとか。

 初戦となった履正社スポーツ専門学校のチーム・履正社RECTOVENUS(大阪)との試合では、ブランクはあっても強豪大出身を感じさせる高いパフォーマンスが何度も見られた。4回には2死一、三塁から相手失策の間に先制、現在は島根中央高で女子野球部監督を務める先発の大倉史帆里は直後に逆転を許したものの、6回途中を3失点と好投。現役並のファインプレーが何度も飛び出し、1―4で敗れたものの何度も歓声が上がった。

 「出来すぎた試合だったと思います。これまで個々で練習していて集まるのは数回でしたが、まだまだ本気で勝ちたいなら練習しないと」と、主将を務めた卒業5年目の味田望。若泉瀬菜監督は「途中から楽しくなって、調子乗って勝ちも狙ってしまいました」と闘争心が目覚めたことを明かして、「野球は続けたいけれど毎日出来ない人のために作ったチーム。来年もできれば」と語った。

◆RUSH・とりあえず楽しく

 2度目の出場で「クラブ選手権1勝」を目標に挙げたのはRUSH(愛知)、もとは至学館大OGのチームだったが、チーム員の出入りがあり今は中京地区の仕事を持つ選手の受け皿となっている。愛知県には企業がバックアップする女子チームがあるが「好きな仕事はしたいけれど、それでは野球を続けられないという子のための草野球チーム。勝ちたいのは勝ちたいけれど、とりあえずは楽しくやりたい」と奥村拓巧監督。初戦で淡路BRAVEOCEANSと対戦した。

 相手は女子プロ野球経験者が多く在籍し、先発左腕の今井巴菜に翻弄されて初回の1安打が精いっぱい。一方でマシンガン打線を防ぎきれず0―10で5回コールド負け。「せめて最終回までやりたかった。守備はそこそこですが生きたボールを打つ機会が無いので、左の変化球には対応出来なかった」と奥村監督は肩を落とした。

 安田恭子主将は強豪の福知山成美高(京都)を卒業後、岐阜で建築関係の仕事をしながら毎週日曜、愛知県瀬戸市へ練習に通っている。「練習も人がなかなかそろわない中で、とにかく楽しくやることをモットーにしています。負けましたけれどRUSHらしくみんなで元気に出来たので。とりあえず大会に出られたことが良かった」とさわやかだった。

◆3年ぶり大会で2勝・佐川急便

 コロナで丸2年活動できなかった佐川急便(東京)が、ベスト16と勢いをみせた。都内にある一営業所で活動するチームで、13人の野球経験者が同社の理解の下、ドライバーを務めながら業務を調整して活動している。3回戦でゴールドジム(東京)に0―5で敗れたものの選手は元気いっぱい。エースの山寺朱音は3試合で計20イニング完投をみせ「体バキバキでしたけれど、マウンドに立つと忘れられて投げられました。キツかったですけれど、良い戦いが出来て自信になりました」と振り返った。

 同じく営業ドライバーの吉本隆一監督は「2年間チームが活動できず、ようやくたどり着いた大会。明るさがうちのモットーですし会社のイメージでもあるので、忘れないようにと言っていましたが、疲れも見せず野球ができる楽しみを感じているようでした」と選手をたたえた。

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 野球ができるのが本当に楽しそうだった彼女たち。共通していたのは、いくつになっても野球が好きでプレーしたいのは女子も変わらないということ。まだまだ総人口が少ないため、すでにバリバリ出来ないけれどたまに野球を楽しみたい、いわば「草野球」の場が少ない女子野球。それでも各地でそんな土壌が育ちつつある現状が、この大会で垣間見えた。

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