スポーツ報知紙面で2016年から大好評連載中のコラム、仙道学編集委員による「仙ペン」が、WEBに登場いたしました! 時に叱咤(しった)あり、激励あり、涙に笑いと、巨人の「今」をあらゆる角度から分析します。また、仙ペンのピンチヒッター・星野和明編集委員渾身の「星一筆」も随時掲載します!
◆JERAセ・リーグ 巨人2―4ヤクルト=延長11回=(30日・京セラドーム大阪)
完全試合と3冠王は、どっちが偉いのか。こういうのを愚問と言う。では「60本超え」と「2ケタ勝利&2ケタ本塁打」なら? 同じく愚問なんだけど、こっちの方は答えが出るかもしれない。
比べようにも物差しが違い過ぎる。ア・リーグのMVP争いです。投票権を持つメジャーの記者たちも悩ましいところだろう。その人の「野球観」が問われているも同然だから。
そういう意味でも大谷は存在自体が革命だ。そんな二刀流の一発に「ちょっとムカついた」と50号。ヤンキースのジャッジです。怪物中の怪物だな。さすがはゴジラ・チルドレン。
個人的には「62号」を打ったらジャッジで決まりだと思う。球団最多本塁打はロジャー・マリスが1961年に放った「61号」。あのベーブ・ルースを抜いての新記録だった。
「ダブル2ケタ」で104年ぶりにルースと肩を並べた大谷。でも「ルースを超えた男」をジャッジが超えたなら…。何にしても景気のいい話です。
そんなわけで怖くて怖くてたまらない。「50号一番乗り」をジャッジにさらわれて、ちょっとムカついていたらどうしよう。3冠王当確寸前の村上です。
いや、かなり健闘したと思う。さすがは村上に打率3割を許していないリーグ唯一の投手陣。菅野はやってくれなきゃ困るけど、平内にはグッときた。
6月26日の神宮球場。同点で迎えた8回に村上から決勝弾を食らった。どうしたって、あの時を思い出してしまう。またか、今季何度目か分からない「魔の8回」…と目を閉じようとしたら、ピシャリだもの。
みんなで真っ向勝負を挑んだ結果は内野安打1本のみ。ただ、それを勝ち越しに結びつけるとは。持っているというか「村神様」はダテじゃない。
それにしても最後の攻撃は淡泊にも程があった。あそこを何とかつないで岡本和の逆転3ラン…なんて夢見ることさえできないのが寂し過ぎるよ。
さて村上と岡本和。どっちが偉いのか。今季に限れば論ずるに値しない。それでも「愚問」とは言わないでおこう。ライバルとして胸と胸を突き合わせて戦う未来は再び来る。