女優の波乃久里子と渡辺えりが9月4日、東京・三越劇場で上演される新派朗読劇場「対の人形」(作・久間勝彦、演出・成瀬芳一)に出演する。
幼いころに離ればなれになり、数十年の年月を経て再会する物語を、2体の人形の運命に寄せて描くもので、波乃が双子の姉妹を、渡辺が語りとその他の役を担当する。2人は「別府温泉狂騒曲 喜劇 地獄めぐり」(02年、主演・中村勘三郎=当時、勘九郎)などで共演。約35年間、公私に交流を続けてきた。
このほど取材に応じ「私たちって兄弟(姉妹)みたいね」と2人。波乃は、渡辺の印象を「登場するだけで不幸なことが飛んでいっちゃいそう。新派にはいない太陽のような存在感がある。心ある芝居も大好きで」。
渡辺は「実はこの世に朗読って必要? と思うくらい朗読が大嫌いでした。私が多動性症候群のような人間でもあるので。じっとしたままの朗読の仕事は考えられなかった」という。そこまで抵抗がありながら今回引き受けたのは「久里子さんと一緒だと聞いて。思い切って引き受けたんです」と話す。ベテラン女優による朗読の味わいの妙が楽しめそうだ。
第2部では「今だけここだけあなただけ」と題した2人によるトークショーも。演劇に対する思いを語る予定だが、ともに芝居の世界での経験が豊富なだけに、思わぬ本音が飛び出しそう。ホームグラウンドは小劇場と新派。育った場所も女優としてのタイプも異なる“新コンビ”の公演だけに、シリーズ化を望む声も出てきそうだ。