【箱根への道】駒大、世界の「TAZAWA」が導く大学3冠

スポーツ報知
野尻湖で大学駅伝3冠を誓う駒大の田沢(左)と佐藤(駒大陸上部提供)

 来年正月の箱根駅伝で王座奪回を目指す前回4位の東洋大は山形・上山市の蔵王坊平で、同3位の駒大は長野・信濃町の野尻湖周辺で恒例の夏合宿を敢行。それぞれ歴代の先輩たちの汗が染み込んだ地で、実りの秋への下地を作った。東洋大は世界陸上視察を兼ねた米オレゴン合宿を経験した松山和希(3年)と石田洸介(2年)が精力的にチームをリード。駒大はオレゴン世界陸上1万メートルに出場したエースの田沢廉(4年)が合流し、チームの士気が上がった。王者・青学大に追いつき、追い越すため、駅伝巧者の両校は充実の夏を過ごしている。

 伝統の長野・野尻湖合宿から駒大初の大学駅伝3冠への挑戦が始まった。まぶしい新緑の中、田沢とU20世界選手権(コロンビア)男子5000メートル11位の佐藤圭汰(1年)も初日の16日から参加し、22日から志賀高原で2次合宿中だ。指導歴28年目の大八木弘明監督(64)は「脚筋力を作るために起伏のある野尻湖で走り込んで、志賀で心肺機能を高めるトレーニングを積む。20キロ、30キロ走の中で上りや下りへの適性も見えますね」と鋭い眼光を放つ。

 今春、5000メートルで田沢が13分22秒60、佐藤は13分22秒91をマーク。駒大歴代1、2位の好記録で、ともに世界舞台へ羽ばたいた。7月の米オレゴン世界陸上1万メートルで田沢は、中盤で腹痛を起こして28分24秒25で日本勢トップの20位。「入賞を狙いにいったんですが、力を発揮できなかった。悔しい」。大学駅伝最多24冠を誇る駒大でも、現役学生の世界陸上出場は初の快挙だった。24年パリ五輪も1万メートルで狙うエースは「監督がずっと『世界だ、世界だ』と言ってくださったので」と熱い恩師に感謝した。

 「箱根から世界へ」を体現した雄姿にチームも沸いた。世界陸上の田沢のレースを寮の食堂のテレビで部員は観戦した。大八木監督は「今年は『駒澤から世界へ』を掲げてきた。それが実現できたことはチームに良い経験になりました」と、うなずく。田沢は「目標は3冠。『夏合宿の出来次第で結果は変わる』と皆に伝えました」と言葉と背中でチームを引っ張る。大学駅伝で区間賞4個も区間新記録はまだない。「できることなら残しておきたい」とV奪還へ快走を思い描く。

 佐藤は初の海外だったU20世界陸上3000メートルの予選後、39度の発熱で決勝は棄権したが「アフリカ勢のレースを肌で感じられて、すごく良い経験になりました」と目を輝かす。初の大学駅伝に向けては「10月の出雲、11月の全日本までは距離的にも1年生だからと臆せずに、チームに貢献したい」と闘志を燃やす。一方で、20キロ以上の10区間となる箱根駅伝については「まだ不安しかない。夏合宿でしっかりスタミナ作りができたら」と気を引き締めている。

 前回の箱根駅伝総合3位のメンバーが9人残る。左大腿(だいたい)骨を疲労骨折した、1万メートル27分41秒68の鈴木芽吹(3年)は早ければ11月の全日本から戦列復帰予定。「山野(力、4年)や花尾(恭輔、3年)も走れている。芽吹や篠原(倖太朗、2年)も戻ってきて、また面白い戦いができるかなと思います」と名将は不敵に笑う。“藤色の常勝軍団”は世界舞台の経験を糧に3冠を狙う。(榎本 友一)

 ◆野尻湖 長野・信濃町の標高654メートルに位置する。形状から芙蓉湖とも呼ばれ、ナウマン象の化石や旧石器時代の遺物も出土している。湖畔の周回コースは15.3キロで高低差は約80メートルと起伏もある。クロカンコースが整備された同町の黒姫高原や新潟・妙高高原にもほど近く、多くの大学が強化に訪れる。

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