◆札幌記念・G2(8月21日、札幌競馬場・芝2000メートル)追い切り=8月17日、函館競馬場
第58回札幌記念・G2(21日、札幌)でJRA史上初の白毛馬対決に臨むソダシとハヤヤッコが17日、ともに函館競馬場の芝コースで最終追い切りを完了した。アイドル牝馬の連覇か、2歳年長の牡馬のサマー2000シリーズ王者確定か―。普段は栗東トレセンと美浦トレセンに調教場所が分かれているいとこ同士の仕上げを、現地取材中のヤマタケ(山本武志記者)が入念に「見た」。
注目のソダシとハヤヤッコを函館で取材している。栗東で日頃から見ているソダシは相変わらずの白く美しい馬体に目を奪われるが、初めて近くで見たハヤヤッコも、多くの馬の中にいても存在感がある。最終追い切りを現地で注視したが、「静と動」の対照的な印象を受けた。
「動」はソダシだ。芝コースを馬なりで、いつも通りの抜群の走り。全く無理をしていない様子は伝わってきたが、昨年の単走に対し、今年は2歳馬2頭を前に見る3頭併せで、直線なかばで2頭を外から抜き去った。須貝調教師は「間隔が空いているので、競馬が近いというのを教えたかった。追い越す意識、追い抜くという感覚をつけたかった」と説明した。
少しスパイスを利かせた最終調整は精神的な成長があるからこそ。手綱を執った吉田隼は「2、3歳時は周りがバタつくと同じように暴れていたけど、今は大丈夫」と証言した。とは言え、3か月ぶりの実戦だけに闘争心も呼び覚まさなければならない。「直線は走る気になっていました」と吉田隼。オンとオフの切り替えもしっかりと覚えさせた。
一方のハヤヤッコは「静」だった。芝コースで2歳馬に先行する形でスタートし、相手に合わせるように馬なり。身のこなしは確かに力強いが、ソダシほどのインパクトは感じなかった。ただ、国枝調教師が口にした「切れるよりもジワジワ伸びるタイプ。持久力勝負はいい」という言葉は引っかかった。
今年はパンサラッサ、ジャックドールという徹底先行型の馬が参戦し、タフな流れのスタミナ勝負は十分に考えられる。しかも、今週の北海道は函館、札幌で火曜日の調教中に暴風雨となるなど天候が不安定。現時点ではソダシが圧倒的に優位だと感じるが、函館記念のような道悪など様々な追い風がハヤヤッコを後押しすれば、断言はできない。空模様も含めて、あらゆるポイントを最後まで見極めるつもりだ。(山本 武志)
◆「持久力勝負」国枝師手応え
〇…ハヤヤッコは内シャンドゥレール(2歳オープン)に2馬身先行。直線入り口で馬体を横に並べ、併走するような形で半馬身先着した。時計は5ハロン66秒6―11秒6。見届けた国枝調教師は「よかった。馬体重も470~480キロで安定しているし、大きく変わることはない」とサマー2000シリーズ連勝へ期待を高めた。G2の札幌記念は勝ち馬に12ポイントが与えられるため、勝てば同10ポイントの新潟記念(9月4日、新潟)を待たずにシリーズ王者が決まる。
◆闘争心呼び覚まし「雰囲気良かった」
〇…ソダシは内ブライトサイン、中エルデストサン(ともに2歳新馬)を追走。ラスト1ハロン過ぎに力強いフォームで前に出て、4ハロン50秒1―11秒3で2頭に2馬身先着した。「ムキになっていなくて、雰囲気は良かった。札幌で2000メートルを勝っているし、自信を持ってパフォーマンスを引き出したい」。2週連続で調教に騎乗した吉田隼は、同レース24年ぶりの連覇に意欲を見せた。