羽生結弦さん「競技者よりもハードな練習」 ノーミス「SEIMEI」にプロの覚悟 連載「超越」2

スポーツ報知
練習中の羽生結弦さん(カメラ・矢口 亨)

◆プロスケーターとしての覚悟

 氷上練習での「SEIMEI」の曲かけに、「羽生結弦」がつまっていた。一番うまい今の更新へ。理想とするフィギュアスケートの追求へ。10日の公開練習「SharePractice」で、プロとしての覚悟を示した。

 「平昌五輪の時と同じ構成の『SEIMEI』をノーミスするってことが今回の目標であって。あの時よりもうまいんだっていうことを証明したいみたいな、自分の中でそういう強い意志があって、今日最後まで、滑りきらせていただきました」

 あの「和の音色」が流れただけで、会場の雰囲気が一気に張り詰めた。2018年平昌五輪のフリー「SEIMEI」の通しは、鬼気迫るものがあった。1度目は4本目のジャンプの4回転サルコーの回転が抜けた。天を仰いだ。

 2度目は5本目のジャンプの4回転トウループが両足着氷になった。「もう一回最初から!」。声を発し悔しがり、演技をやめた。ノーミスするまで続けるという意思表示だった。

 3度目。サルコーとトウループの2種類4本の4回転を含む、計8本のジャンプを全て成功した。フィニッシュポーズを決めると「ありがとうございました」。肩で息をしながら、自ら拍手した。

 7月19日にプロ転向を表明した。公式YouTubeチャンネル「HANYU YUZURU」を開設した。自ら発案し、行動に移してきた。プロのアスリートとして、やるべきことが増えた。妥協を許さず全力を尽くす日々は、多忙を極めつつも充実している。

 「本当に大変ではありますし、それこそ睡眠時間とかだいぶ減っちゃったなとかって思いながらやっているんですけど。でも、気持ちの中では、むしろ競技者よりもすごくハードな練習しなきゃなって思ってますし、実際していて。今までは試合というものに追われながら頑張ってきましたけど、でも、今は本当に皆さんの期待を超えたいみたいな。そっちの方が大変だなって思ってるんですけど」

 競技者よりもすごくハードな練習―。やはり「羽生結弦」は、いつだって想像の上を軽く超えてくる。

 17年世界選手権で逆転優勝を飾ったフリー「ホープ&レガシー」の冒頭で、試合では単発だった4回転ループに3回転トウループをつけた高難度の連続ジャンプを決めた。その後、クワッドアクセル(4回転半=4A)にも挑んだ。

 「どんどんどんどん練習していって、絶対4A降りる姿を見ていただけるように、これからも頑張っていきたいなと。死にものぐるいで頑張っていきたいなと思います」

 初披露された白を基調とした新ジャージーには、ゴールドとグリーンのラインが施されていた。「SEIMEI」の衣装をほうふつとさせる色合いを取り入れたのは、羽生さんのこだわりだ。

 「今日の『SEIMEI』じゃないですけど、競技よりもさらに一つ段階を上げた、ギアを一つ上げたような演技をしていかなきゃいけないなあっていうふうに思っています」

 過去の自分を超越する。競技会を離れてもそれが可能であることを、この日の公開練習で証明してみせた。(高木 恵)

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