【中日】竜の火消し屋・谷元圭介の「こだわりすぎる〇〇〇」シンプルisベストの“相棒”とは?

スポーツ報知
市販の内野手用を、投手用に改良した中日・谷元モデルのグラブ

■道具にこだわる“職人”が一周回って…

 少しぎこちなく記念のボードを掲げ喜びを表現した。7月18日のDeNA戦(バンテリンD)で通算500試合登板を達成した中日・谷元圭介投手。今季も“火消し屋”としてピンチに登場するチーム最年長投手は「去年、アクシデントなど色々あったんですけど、こうやってバンテリンで投げる姿や、投げられることに野球ができる喜びを感じることができた。野球ができるってのは幸せ」と感慨深く偉業をかみ締めた。

 連盟表彰も受ける勲章をつかんだ右腕には、頼もしい“相棒”がいる。一般的な投手用より、かなり小ぶりに作られたザナックス社製のグラブだ。同社は伝説のクローザー・藤川球児氏(スポーツ報知評論家)や、現在リーグトップ34ホールドを挙げる阪神・湯浅京己投手も愛用。カラーはブラックで「派手な色もいいけど、より相手に癖を悟られないようにしたい」と細部にもこだわっている。と、ここまではプロ野球選手として何となく分かる説明なのだが、ここから僕の頭がフリーズする。

 ザナックス社の担当・丸井悠平さんは「実はあのグラブは、プロ用の特別なものではなく、近くにあるスポーツ店で市販されていたものが原型なんです」と明かす。丸井氏と右腕が小学生時代からの知り合いだった縁もあり、日本ハム時代のプロ2年目から同社のグラブを愛用。シーズンオフには自ら工場に出向き、グラブ職人にこだわりをぶつけた。こだわりが強すぎるせいか、グラブ職人が圧倒される場面もあったとか。

 通常、プロ野球選手は用具メーカー各社とアドバイザー契約や用具提供の契約を交わし、各メーカー最新の技術が詰まった道具を使う。もちろん谷元も同社とアドバイザー契約しているが…。プロとしては小柄な167センチを目いっぱい使って剛球を投げるために、プロに入ってから常にグラブにも究極を求め続けた。

 しかし中日移籍後に「出逢い」が待っていた。ナゴヤ球場近くにあるスポーツ店に置いてあった市販のグラブを手にして「これだ!」とひらめいた。一般流通するグラブにも、プロ同様の高品質な革を扱う同社の内野用グラブに、ウェブ部分だけを投手用に改良し「谷元モデル」がついに完成。現在使うグラブも、一般的にカタログで販売されているモデルが基本型で華美な刺しゅうも一切ない。

■たどり着いた市販ベースのグラブ

 丸井さんは「まさにシンプルイズベストです。自分の色を出すのがプロ野球選手ですし、様々なオーダーがあるのが普通ですが、谷元投手の場合は逆。色んなものをそぎ落とした究極の一品。グラブ職人以上の“グラブ職人”です」と教えてくれた。

 背番号14は「いかに自分のパフォーマンスが上がるか追い求めた結果。色々試してきたけど、一周回って、市販のものにたどり着いた」と笑う。それでもキャリアを支える野球道具に人一倍の感謝、敬意を示し「ものがあふれて、簡単に手に入る時代だけど、一つのものを大切に、こだわりを持って使うことは大事なことだと思う。それは小さい頃から変わってない」と話す。

 当たり前のようで、当たり前にできないことを徹底的に追い求める男。頼もしさの原点はグラブにも詰まっている。(中日担当・長尾 隆広)

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