【(元)番記者の視点】「鹿島らしさ」×「鹿島らしくなさ」岩政大樹監督率いる新生・鹿島の展望

仲間隼斗に指示を出す鹿島・岩政大樹監督
仲間隼斗に指示を出す鹿島・岩政大樹監督

◆明治安田生命J1リーグ▽第25節 鹿島2―0福岡(14日・カシマスタジアム)

 鹿島が福岡を2―0で下し、岩政大樹・新監督(40)の初陣を飾った。前半にオウンゴールで先制し、後半ロスタイムにFWエベラウドが追加点を挙げた。リーグ戦では6試合ぶりの勝利となった。

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 1―0で迎えたハーフタイム。岩政監督は「新しいアントラーズを見せよう」と選手を送り出した。その意味は「追加点を取れ」。オウンゴールだったり、セットプレーの得点だったり、あるいは相手のミスを見逃さない形での得点だったりから成る「1―0の勝利」は、いかにも「鹿島らしい」。しかし、新指揮官は追加点を取ることを指示した。

 「昔のアントラーズは守り切って1―0でというものだったけど、相手をもっと制圧しようと。エベの追加点は大きなポイントかなと思う」。鈴木優磨は指揮官の熱弁をこう解釈し、ダメ押し点となったFWエベラウドのゴールの重要性を強調した。

 「鹿島らしさ」は随所に見られた。それは、福岡の長谷部茂利監督が語った「もともと持っている鹿島の強さみたいなものを感じた」という試合総括にも表れている。相手の長所を消し、短所を突く。流れが来ている時間帯で得点し、相手の流れの時間帯に失点しない。相手が前掛かりになればしぶとく耐え凌ぎ、油断した隙に速攻を繰り出す。鹿島で長年プレーしていた監督の成せる技だ。

 一方で、「鹿島らしくない」ことも、この日のピッチでは起きていた。伝統の4―4―2(4―2―3―1)の布陣を捨て、終盤は5バックで守った。また、相手の出方を見たリアクションではなく、時間帯をいくつかに区切り、あらかじめ自分たちの戦い方を定めていたという。展開を見つつ微調整を加えながらも、主導権を握り続けようとした。

 岩政監督は、これまで選手としてクラブ所属歴のある人材に限られたスタッフ陣に、外部の血を入れたい意向を示している。いい意味で「鹿島らしくない」選択肢は、今後も増えていくだろう。鹿島を離れた後、タイやJ2、社会人リーグでプレーし、大学での指導や解説業で様々な知見・価値観を得た監督の成せる技だ。

 岩政監督は、明確な“型”を持つ川崎や横浜FMを引き合いに、これまでの「鹿島らしさ」だけでは「勝てなくなってきている」と断言している。伝統を継承しつつも、いい意味で「らしくない」要素を取り入れられるか。実績に申し分のないザーゴ氏、バイラー氏でもうまくいかなかった、この難題。若きOB監督の手腕に期待が集まる。(18~19年鹿島担当・岡島 智哉)

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