Kis―My―Ft2藤ヶ谷太輔インタビュー…後編ロングバージョン

 Kis―My―Ft2の藤ヶ谷太輔(35)に迫った2週連続のインタビュー後編は「人間編」。アイドルであると同時に、一人の男性としての価値観を深めることの重要さにも気づかされたといい、今年は子供心理カウンセラーの資格も取得した。「自分軸」を改めて強く自覚した今、TBS系「A―Studio+」(金曜・後11時)のMCとして話を引き出す喜びにも開眼。また、1月に運命的にのめり込んだロック歌手の矢沢永吉(72)の精神性にも感銘を受けたという。

 30代になり、藤ヶ谷には気づかされたことがあった。「アイドルの自分も大事だし、ファンの皆さんも大事。でも、同時に一人の男としても、やりたいことはしたいなって思うようになりました。20代の時はとにかく仕事頑張りますって感じだった。『休みいらないんで仕事したいです』とか、そっちの方がかっこいいと思っていた。でも今は変わってきて。すごく充実していて、幸せそうだなっていう人いるじゃないですか。話す質が高いっていうか、経験した人じゃないと話せないこともある。今の僕は仕事もプライベートも…趣味のキャンプや読みたい本もちゃんと読んで、『自分軸』を大事にする大人になりたいんです」

 人生を豊かにしようと考えるようになったきっかけの一つには、「A―Studio+」の存在もあるのかもしれない。20年春から加わり、笑福亭鶴瓶(70)とダブルMCを務める。「最初にお話を頂いた時に『エッ?』と思ったんです。それまで『MCやりたい』と言って、動いたことなんてなかったので…」と、当初は戸惑いの方が大きかったという。

 まず向かったのは尊敬する先輩のところだった。「最初に中居(正広)さんに報告したんです。前から『MCやってみれば』と言ってくださっていたので、タイミングがあれば直接伝えたいと思って。『めちゃめちゃいいじゃん』ってすごく喜んでくれた。自信もないしいろいろ聞いた中で『爪痕を残さないっていう爪痕の残し方もある』と言ってくださった。MCだから『これだけ取材しました』って前へ前へってことじゃなくて、いなくても成り立つんじゃないかっていうぐらいのMCも爪痕を残してることになるぞって教えて頂いて。自分なりにもいろいろ考えましたね」

 大先輩からのヒントをもらって臨んだ最初の1年は試行錯誤の繰り返しだった。「最初はゲストの魅力をとにかく引き立たせたいと思って、できるだけ短いワードを振って長く答えてもらうことを考えていた。でも、1年ぐらいたったときにスタッフの皆さんが『グループの時とは違う魅力を出してほしい』と言ってくださって。そこからは聞くだけじゃなくて、強制アウトプットで、少しずつ自分の気持ちも乗せてみようと」

 例えば、寡黙なゲストがいた場合。「先にちょっと自分の話をして、別にそこはカットしてもらえばいい。例えば自分の恋愛観を話してから、相手の恋愛観聞く方が話しやすいのかな、とか。収録は1時間以上喋ってるんで、カットしてもらう前提に結構話してます。収録、すごく面白いですよ。あとは自分が取材に答える側であることも多いので、取材を受けるときは長く答えてあげたいなとも思うようになりました」とコミュニケーションの本質を掘る楽しみを得た。

 30分のオンエアのために、倍以上の時間をかけて収録。さらにその何倍以上の時間をかけて事前取材にも出かける。「かけている時間と愛情が、あの番組の素晴らしさ。ゲストの方に、終わってから『あんなにしゃべったの初めて』とか、『この話、するつもりなかったんですけど』と言われるのがめちゃめちゃうれしい。べー(鶴瓶)さんの人間力も本当にすごい。一緒に取材に行くと、マジでたわいもない話だけで終わるときがあるんですよ。『気いつけてや』とか言って(笑い)。でもスタジオでそれが生きる。やっぱり人間力なんですよね」

 藤ヶ谷は今年、「自分軸」の価値観の一つを得るべく「子供心理カウンセラー」の資格を取った。「元々、子供が好き。幼稚園の先生になりたいという夢がずっとあって、コロナ下で時間の使い方を見つめ直して、やりたいことを整理していたタイミングでもあった。(日本テレビ系人気番組)『はじめてのおつかい』に出演した時、スタッフの方が資格を持っているとお聞きして、僕もやってみたいなって。アリーナツアーをやりながら、1日30分くらいを目安にして講座のテキストを進めていく。学ぶってやっぱり面白い」と、充実した表情で振り返る。

 「友達の子がちょうど2歳過ぎた女の子。0歳児から乳児期の勉強をしていたとき、あの子ぐらいだな、と思い浮かべながら勉強できたのは大きかった。たまに会った時、『欲しい』と言われて取ってあげたものを『イヤ』と言われたりすると、『これがイヤイヤ期なんだ…!』と実感した」と学びが立体的にフィードバックされたこともあるという。

 一方で「同世代の仲間と久しぶりに会うと、高校や大学の時の青春の話題は入っていけるけど、待機児童問題とか保険の話とか、ママ友の付き合いの話とか友達同士でしゃべっていると、1人ポツンとしてしまう。友達だけどパパなんだな、って…」と人生経験の差が身に染みた。「子育ては実践が全て。知識があれば安心して子育てできる要素の一つになるかなってだけだと思います」と謙虚に語る。

 今年の藤ヶ谷には、もう一つ大きな出会いがあった。デビュー50年の節目を迎える矢沢永吉に迫ったTBS系「情熱大陸」(1月放送)を見て、雷に打たれたような感覚に陥った。「本気ってカッコいいなって改めて気づかされた。あれだけのキャリアと実績がありながらトレーニングをして、ライブに懸けている思いを知って。『なんで今まで巡り合わなかったんだ』って…。そこからは『成りあがり』を読んで、DVDを探して、ファンクラブに入っていた叔母が持っていたレコードも聴いて、タオルも購入しました」と恐るべきスピードでのめり込んだ。

 「(DVDで)矢沢さんがドームのムービングステージに1人きりで、周りに水の入ったシャンパングラスだけ。間奏でタバコの煙を吐いて、その手でマイクをもって2番に行く。カッコいい…」。熱く誰かを「推す」ことは、普段は誰かに「推される」立場の藤ヶ谷にとっても合わせ鏡のような感覚だ。「(あこがれを公言する)安室奈美恵さんの引退コンサートで、行く前からドキドキして。セトリ(セットリスト)のファン投票にも応募して、予備知識は入れずに、でもワイドショーで1曲目知っちゃった! とか(笑い)。ライブが終わって『明日も見たい!』と思えるとか、そういう気持ちを感じることはできているかもしれないですね」

 ニッポン放送のレギュラーラジオ「藤ヶ谷太輔 Peaceful Days」ではたびたび“永ちゃん愛”を力説。それがラジオ関係者を通じ矢沢本人にも伝わったといい、「OK、じゃあ聴いちゃおう」とその場で「ラジコ」のタイムフリーで番組を再生。生きるロックの伝説が「若い人に刺さってるのはうれしいね」と喜んでくれたという。

 「パフォーマンスをまねたいとかではなく、安室さんや矢沢さんの燃やしている炎に影響されている。特に舞台とか、生物(なまもの)の、命を削るような場面でくじけそうになる時、好きな方に無意識に背中を押していただけている」と出会いに感謝する。「自分は静かに炎を燃やすタイプですが、これからも内なるところで常に燃えていくんだと思います」。藤ヶ谷の胸の中には静謐(せいひつ)な青い炎が絶えず燃え立っている。
(宮路 美穂)

 ◆藤ヶ谷 太輔(ふじがや・たいすけ)1987年6月25日、神奈川県生まれ。35歳。98年にジャニーズ事務所に入所。2004年に前身の「Kis―My―Ft.」を結成し、翌年現体制に。11年8月、シングル「Everybody Go」でデビュー。待機作に主演舞台「野鴨―Vildanden―」(9月3~18日=東京・世田谷パブリックシアター)、18年に主演した同名舞台を映画化した「そして僕は途方に暮れる」(三浦大輔監督、来年公開)がある。

芸能

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×