【箱根への道】「青学大菅平激坂王」脇田幸太朗「最後の箱根は5区を狙います」

スポーツ報知
菅平合宿恒例の上り坂TTに励む青学大のランナー

 夏を制する者が箱根を制する―という格言に倣い、各校が過酷な夏合宿に突入した。昨季の箱根駅伝覇者の青学大と同2位の順大は、同時期に長野・上田市の菅平高原で走り込んだ。時折、ロード練習ですれ違いながら、それぞれ力を蓄えている。青学大は新潟県出身同士で中学時代からの盟友の岸本大紀と横田俊吾(ともに4年)が、チームを力強く引っ張る。(竹内 達朗)

 青学大の菅平合宿恒例となっている重要な練習が、上り坂タイムトライアル(TT)だ。約18キロを集団で走り、上り坂が続く残り約3キロを全力で競走する。計21キロ。箱根駅伝5区の選手発掘と同時に、全選手が心肺機能を限界まで追い込む。

 午前6時。ピリッとした緊張感が漂う。「苦しい練習ですが、自分に打ち勝っていきましょう」。別メニューの宮坂大器主将(4年)に代わって、副将の横田が号令をかけてポイント練習は始まった。

 全選手が18キロまで設定通りのペースで走り、そのまま上り坂TTがスタート。標高1322メートル地点から同1535メートルまで標高差213メートルの3キロを駆け上がる。

 今年の箱根5区3位の若林宏樹(2年)が先頭を突っ走り、同2区7位のエース・近藤幸太郎(4年)が追いかける。残り約500メートルで学生3大駅伝未経験の脇田幸太朗(4年)がトップに立ち、22年の「青学大菅平激坂王」に輝いた。「自信になります。最後の箱根は5区を狙います」と脇田は充実した表情で話した。

 ゴール地点から宿舎まで約7キロを走って戻り、さらに30分をかけて体幹トレーニングとストレッチ。午前9時頃にようやく練習が終了。最後に原晋監督(55)が総括した。「脇田、1番おめでとう。でも、これからが大事。油断するなよ」と笑顔で話した。その後、指揮官は表情を一変。練習の前半、2人の選手がトイレに駆け込み、一時、集団から離れた。その後、集団に戻ったが、原監督は「生理現象だから仕方ないが、箱根駅伝のレース本番中にトイレに行くか? 今日は大事な練習。準備をレースと同じくらいにしなければいけない」と訴えた。

 上り坂TT上位10人のうち7人が4年生。原監督は「今年の4年生はよく頑張っている。特に岸本と横田の新潟コンビがいい」と高く評価する。ともに新潟県出身の2人は10年来の盟友。中学3年時の3000メートル全国ランクは横田が4位、岸本が5位だった。岸本は地元の三条高、横田は福島の学法石川高に進学。青学大でチームメートになったが、これまで2人が同時に3大駅伝に出場したことはない。

 最後の夏合宿。練習中は切磋琢磨(せっさたくま)し、休み時間はそれぞれお気に入りのTシャツを着て語り合う。岸本は「横田とタスキをつなぎたい」と笑顔で話すと、横田は「それができたら最高。岸本はエースとして駅伝を走ることが決まっているので、僕がもっと頑張らなければいけない」と、言葉に力を込めた。

 今年1月の箱根駅伝では往復路を制し、総合新記録(10時間43分42秒)の完全優勝で2年ぶり6度目の栄冠に輝いた。「今季の一番の目標は箱根駅伝で総合記録を更新すること。そのために出雲駅伝、全日本大学駅伝も勝ちたい」と岸本はきっぱり。王者・青学大は新春の栄光に向かって、試練の夏を走り続けている。

 ◆菅平(すがだいら)高原 長野・上田市北部に位置する。冬季はスキー場。夏季はラグビーなどの合宿地として有名で、グラウンドが点在する。標高約1300メートルで涼しく、準高地トレーニングができるため、近年は陸上長距離・マラソンの合宿も盛んに行われている。全天候型400メートルトラック、距離表示のあるロードコースなどが整備され、高校、大学、実業団のランナーでにぎわう。菅平高原に隣接する長野・須坂市の峰の原高原(標高約1500メートル)には1周2キロの芝生のクロスカントリーコースがある。

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