◆YBCルヴァン杯▽準々決勝第1戦 横浜FM1―3広島(3日、Eスタ)
横浜FMは敵地で広島に1―3と敗れた。0―1の後半開始1分にFWレオセアラが同点ゴールを決めるも、同26分、試合終了間際に失点。マスカット監督が「広島の勝ちに値する結果。全体的にばらつき、形ができなかった」と振り返ったように、敵地で完敗した。2年ぶりの8強進出をかけ、10日の第2戦(ニッパツ)で勝利を目指す。
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横浜FMに欠かせない”エンジン”であるDF小池龍太が、代表活動を終えて初めてピッチに立った。しかし最大出力を考えれば、本来の力を発揮しきれていないというのが正直な90分間。ピンチを救った場面があった一方、守備での小さなミスも重なった。厳しい表情で、「アウェーの地で自分たちのサッカーをして成長することは必ず達成しないといけないけど、達成できなかった。非常に責任を感じる」と受け止めた。
国内組を中心とした日本代表が挑んだE―1選手権。JFL山口(現J2)からキャリアをスタートさせた小池は、26歳にして世代別を通じて初の日本代表に選ばれた。先月24日の中国戦で「国を背負って戦えることは誇り。胸に迫るものもあった」と代表デビュー。右サイドバックとして持ち味の運動量を生かしながら攻撃にも果敢に参加し、存在感を示した。
「ターニングポイントになる価値のある試合」と語ったのは27日の日韓戦(3〇0)だ。アクシデントもあり、キックオフ3時間前に急きょ小池の先発出場が決定。24日の中国戦フル出場から中2日の出場だった。勝てば優勝という大一番でピッチに立つ「うれしさ」を覚えると同時に、「勝負強さ、大きな舞台で引き出される本当の力がどれだけなのか。重圧も大きかった。慣れではないけど、何かを背負って試合をする上で、常に1試合が自分の人生を大きく左右することは改めて感じた。90分間をもっと100%で戦える選手にならないといけない」と成長すべき点も実感した。
自身もアシストを記録するなど優勝に貢献。何より感じたのは、タイトルを取る重み、そして喜びだった。「表彰式に出てタイトルを取ったことで、マリノスでもタイトルを取りたい思いが一層強くなった。自分がこのクラブにタイトルをもたらしたいって思いはもっと前面に出さないといけないし、それを感じられたのは代表に行ったマリノスの選手7人だけ。他の選手にも伝えられるくらい、『本当に取りたいんだ』ともっとプレーで示していきたい」
タイトルへの思いを強めた背景には、同じく代表活動に参加したFW宮市亮の負傷離脱も少なからずあったはず。先月30日の鹿島戦では、サポーターにあいさつする宮市を目に、涙を流す小池の姿もあった。
だからこそ、この日のプレーに強く反省の色がにじんだ。「自分に起こった(連戦といった)過程は言い訳にしたくないし、それをするのであれば、今後いろんなものを背負いながらマリノスのサッカーはできない。自分のパフォーマンスに毎試合納得はいかないけど、毎試合ベストを更新できるように、勝たせられる選手になることはもっと大切にしたい」。常にコンディションを「できる現状のベスト」に保ち、ハードワーク必須のサッカーでタフさを一つの武器にチームを支えてきた小池。相当な疲労はあったと想像するが、出場する以上生まれる責任を強調した。
敗戦後、「みんながトライしようとしたこと、準備してきたことは大切にして、まだ自分たちに取り返せるチャンスがあると認識した上で、次の試合にどう生かすかが大事」といつも通り前向きな姿勢を忘れることはなかった。「チームとして前へ進んでいきたい」と決意を新たにしたサイドバックは、タイトル目がけて全力疾走を続ける。(小口 瑞乃)