【番記者の視点】「試合決行」は正しかったのか?川崎が“実質控え2人”で浦和に敗戦…陽性者続出で

川崎の控えメンバーを伝える埼玉スタジアムの大型スクリーン
川崎の控えメンバーを伝える埼玉スタジアムの大型スクリーン

◆明治安田生命J1リーグ▽第23節 浦和3―1川崎(30日・埼玉スタジアム)

 トップチームに新型コロナウイルスの陽性者が続出し、28、29日の2日間で9人の陽性が発表された川崎は、登録メンバー上限18人に達しない16人で浦和に挑んだが、1―3で敗れた。

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 当日まで開催可否がハッキリしなかったが、試合は“決行”された。理由はシンプル。川崎がリーグ規約に則り、開催可能な最低人数13人(GK1人を含む)をそろえることができたからだ。

 Jリーグ30年の歴史で、史上初めてベンチにGKが3人入った。GK安藤駿介、GK早坂勇希の2人はフィールドプレーヤーとして出番に備えた。ベンチのフィールド選手はFW宮城天、MF山村和也の2人だけ。実際に交代枠はこの2枚のみを使用した。控えは“実質2人”だった。

 今季のJ1クラブでは、自チーム内の陽性者多数により、ルヴァン杯を含めた公式戦で5チームが中止(延期)を経験している。陽性者の発表方式がクラブによって異なるため正確なことはわからないが、関係者によると、選手の陽性者/濃厚接触者数が今回の川崎より少なかったクラブもあったという。

 では、川崎の試合はなぜ中止(延期)とならなかったのか。Jリーグのリリースを確認すると、この5件中4件で、管轄の保健所からチーム活動停止の指示があったことがわかる(残り1件は保健所の指示とした発表を撤回。Jリーグが真意を調査中)。停止指示によって13人をそろえることができなかったため、中止という判断に至っている。

 関係者によると、川崎は管轄の保健所から活動休止の指示は受けなかったという。だからカツカツではあるものの、13人をそろえることができた。

 鬼木達監督は「自分たちはGK(3人)をサブに入れた。簡単に(試合って)延期になるのかな?という思いは当然ある。問題提起になるゲームだったかもしれない」と本心を打ち明けた。

 このご時世、不可抗力による不平等は仕方がない。しかし、この保健所の判断ありきとなってしまっている現行のルールは、再考すべきではないか。そもそも、真夏に13人でサッカーをするのは無理がある。中止の続出により、リーグ日程が消化できなくなってしまうことを避けたいためだろうが、不平等が生じかねない。

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 試合後、ロッカールームに引き揚げる川崎イレブンに、一部の浦和サポーターが温かい拍手を送っていた。日を追う毎に体調不良者が増え続け、いつ自分が感染するかわからない状況で試合に向けた準備を進めた川崎からはプロの矜持を感じた。いかなる状況でもルールを守り、試合を成立させようとする姿勢はリスペクトに値するし、その姿勢を貫くことで損をしてしまう世の中であってはならないとも感じる。(川崎担当・岡島 智哉)

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