【番記者の視点】「世界一のベンチ」がもたらした勝ち点3…今季初出場のGK波多野が好セーブ連発

スポーツ報知

◆明治安田生命J1リーグ▽第23節 FC東京2―1広島(30日、エディオンスタジアム広島)

 FC東京は、敵地で広島を2―1で下し、連勝を飾った。今季リーグ初出場となった198センチGK波多野豪(24)が好セーブを連発し、アウェーでは5月25日の清水戦以来となる4試合ぶりの勝利をもたらした。

 試合の流れを左右するビッグプレーだった。後半7分、1点ビハインドで迎えた右CK。日本代表DF荒木のヘディングシュートがゴール右隅を襲ったが、波多野が間一髪で左手一本でかき出した。「チャンスが来るのは分かっていましたし、この試合に懸けていました。もうデビュー戦のような感じで、超準備していました」。

 このセーブで流れを引き戻すと、チームは後半22分にFWディエゴオリベイラ、同48分にはFWアダイウトンがゴールを決めて逆転に成功。アルベル監督(54)も「波多野豪をたたえたいと思います。今日は素晴らしいセーブをしてくれたし、集中したプレーをしてくれた」と絶賛した。

 東京五輪代表候補にも継続的に選ばれるなど、将来を期待されてきた。昨季までは守護神を務めていたが、今季は仙台から実力者のGKスウォビィクが加入。セカンドGKに降格した。昨季はビッグセーブを連発したかと思えば、簡単なボールをミスするなど、不安定なプレーが目立った。「去年はどうしても自分が何とかしなきゃ、何とかしなきゃと固くなってしまっていた。それはちょっとダメだなと。いい風に調子に乗るというか、リラックスしてゲームに入ろうと思いました」。

 そんな中、守護神の欠場で巡ってきた今回のチャンス。前半34分にはゴール前でFWベンカリファのヒールシュートを右手ではじくと、さらにこぼれ球に詰めた相手MF東と交錯しながらも、一足早く右手でボールを触り、ゴールを死守した。前半40分にMF森島に弾丸ミドルシュートを決められて1失点こそしたが、持ち味の足元の技術や的確なハイボールの処理など、ほぼノーミスだった。「試合に出て結果を残せたのは良かったですけど、1失点してしまったので、次は止められるようにもっと改善したい」と成果と課題を手にした。

 この日の波多野の活躍は、チームの士気を上げる意味でも大きい。今年のFC東京の試合をご覧の方はご存じかもしれないが、ベンチの映像が映ると、必ずそこに仲間を鼓舞する背番号13の姿がある。飲水タイムでは真っ先に仲間にボトルを渡し、味方が悪質なファウルを受ければ、勢いよくベンチから飛び出していく。試合に出られない悔しさを押し殺しながら、誰よりも戦っている姿を見てきた主将のDF森重は「世界一のベンチ」とたたえる。「正直、出られていないわけで悔しい部分はありますけど、そういう風に言ってもらえるのはうれしいですし。また次の試合はどうなるか分からないですけど、どういう立場であれ、自分の全てを出したいなと思います」。最高のベンチメンバーから、東京の、そして日本の守護神へ―。まだ24歳。駆け上がる時間は十二分に残されている。(FC東京担当・井上 信太郎)

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