【森永卓郎の本音】なぜ賃金が下がり続けるのか

スポーツ報知
森永卓郎氏

 日本の実質賃金が下がり続けている理由は、日本経済が成長しないからだが、もう一つ、労働力人口が増えていることも大きな理由だ。2000年から2021年にかけて、日本の生産年齢人口(15~64歳の人口)は、1187万人も減ったが、労働力人口は、141万人も増えている。日本政府が進めてきた4本柱の労働力供給増加策の成果だ。

 第一は、生涯現役社会という名の高齢者の就業促進策だ。65歳以上の高齢労働力人口は、21年間で488万人も増えている。改正高年齢者雇用安定法で政府は70歳までの就業機会確保の努力義務を課している。

 第二の労働力供給増は女性だ。女性の労働力人口は、21年間で324万人の増加となっている。男女共同参画社会として、政府は女性の労働参加を支援してきた。ただ、21年間で増えた正社員が135万人に対して、非正社員は453万人となっている。女性の労働参加の大部分は、非正社員の増加でもたらされたのだ。

 第三の柱は、外国人労働者だ。21年間で外国人労働者は152万人も増えた。増加の主因は、技能実習生だ。日本で仕事をしながら技術や技能を学んでもらい、その成果を本国の経済発展に役立ててもらうという国際貢献だ。もちろん、本来の実習をしている事業所もあるのだが、多くの事業所が技能実習生を単なる低賃金労働力として扱っていることも事実だ。

 そして第四の柱は、若年層だ。若年人口の急減で、若年労働力人口は減少しているが、12年に68・0%だった20~24歳の労働力率が、21年には75・3%に高まっている。親の所得低迷でアルバイトをせざるを得なくなったからだ。

 こうした低賃金労働増加を防げば、確実に賃金は上がる。問題は、GDPが減ることだけだ。(経済アナリスト)

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