将棋の第63期王位戦七番勝負第3局は21日、神戸市の「中の坊瑞苑」で前日から指し継がれ、藤井聡太王位(20)=竜王、叡王、王将、棋聖=が挑戦者の豊島将之九段(32)に84手で快勝し、対戦成績を2勝1敗とした。19日に20歳の誕生日を迎えた藤井は、20代最初の対局を白星で飾った。
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第1局、第2局同様、角換わりになったのですが、今回はクラシカルな形になりました。十数年前にかなりはやった形。豊島九段としてはプロになっていたのですごく研究をしていた時期だと思いますし、経験値としては藤井王位より明らかに豊富な形でした。その利を生かしていければというところだったのですが、藤井王位が読みで経験値をカバーして、うまい指し回しを見せた。全部の駒が最大限に働いていて、きれいな将棋でした。
中盤の攻防は非常に難解で、濃密。42手目の△6五同桂という手に対して、豊島九段が▲6四歩と反撃にいったのですが、その対応がどうだったのか。2、3択ある局面がその後数手続くのですが、その辺りの対応でちょっと差がついたかなと。終わってみれば、相手に1回も猶予を与えないいつもの藤井王位の勝ちパターン将棋になりました。
今回は後手番の藤井王位が勝利。次局は先手番が藤井王位ですので、豊島九段は追い込まれたと言っても過言ではない状況。豊島九段にとって絶対に負けられない戦いになってくると思います。